競合業態の動向は・・・(GMS①)

食品スーパーにとっての競合業態は多い。なかでもGMS業態の主体は食品に移って来ている。GMS業態を持つ大手スーパーにとって、今年は激動の年になりそうだ。イトーヨーカ堂は首都圏の「フード&ドラッグ」主体の店舗に、ユニーはドン・キホーテへの業態化している。イオンも、GMS事業は3~11月期は前年に比べ大幅な赤字圧縮であったが、12億円の赤字であったからだ。ここからは、月刊『激流』誌に掲載のジャーナリスト石橋忠子氏の記事を参考にさせて頂く。石橋氏の分析は鋭く毎号楽しみにしている。

▼まずは、GMS存続に向けて改革が実りつつある「イオンリテール」だが、上期は人件費など経費増で45億円の営業赤字であったが、既存店売上高は17カ月連続で前年をクリアしており、通期では黒字着地の見込みだ。特に食品とH&BCは、「絶好調」と言える。人流の回復や値上げによる単価アップ、集客の武器となったPB「トップバリュ」効果が大きいが、コロナの中での改革に取り組み続けたことが大きいようだ。

▼食品は、市場の伸びに追いついていなかった「冷凍食品」、「精肉」、「デリカ」の徹底強化を図ってきた。売場拡大し、味にこだわったものを増やすための改装を年60店のペースで続けてきたのだ。H&BCも売場を広げ、化粧品は従来のカウンセリング主体からセルフ主体へ転換。調剤併設店を増やし、館内にクリニックを誘致するということもやってきた。ただ衣料品は専門店化に取り組み、20年以降は在庫の適正化も図ったが、大きな成果は得られなかったという。

▼ただ、昨年改装した「イオン船橋店」での専門店化の挑戦は、これまでとは違う成果が出ている。それは、売場の編成を商品・カテゴリー別から生活シーン別に変え、さらにセルフで売るもの、接客販売で売るものを明確に分け、本当の意味で接客を強化したことだ。衣料・住居は未だ赤字だが、今年も黒字化に挑戦していくとある。そのため船橋店での取り組みを検証、住居はもう少しアイテム数を絞るなど進化させながら拡大していく方針だ。イオンはイオンリテールが店舗を閉めれば、イオンモールもイオンフィナンシャルサービスも大きな打撃を受け、グループが文字通り揺らぐ事業モデルだ。こけたくてもこけられない。改革の本気度が勝ち組へと導いている。今年はそこからの1年となる。

2024/01/16