
Walmartが、24年1月期の第4四半期と通期決算を発表した。今年も過去最高収益を記録している。1年前に「オムニチャネル・リテーラー」と宣言した通りに、店数を減らしながらも売上高は成長している。その主な要因はネットスーパーの宅配サービスにあり、新規客として富裕層を取り込んでいるようだ。CFOのジョン・レイニー氏は「Store-fulfilled delivery sales were up nearly 50%, and we reached a $2 billion monthly run rate」と述べている。
▼2024年1月期の営業収益は6481億2500万ドル(97兆2188億円)で6.0%増になる。内訳となる売上高が6426億3700万ドル(96兆3956億円)で前年比6.1%増、会員費収入が54億8800万ドル(8232億円)で1.5%増となっている。利益面では、営業利益は270億1200万ドル(4兆0518億円)で32.2%増、純利益は155億1100万ドル(2兆3267億円)で32.8%増と大幅アップしている。
▼驚くのは1年間で100店舗を超える店舗減少だ。米国内事業部「Walmart US」は23年1月31日時点で4,716店だったのだが、24年1月31日では101店舗も少ない、4,615店との発表になる。「Super Center」が12店舗減の3,560店、「Neighborhood Market」は7店減少の675店。「Discount Store」は4店舗減少の360店に、また小型フォーマットは70店も減少して20店舗となっている。コンビニエンスストア8店舗、ピックアップ拠点の表示はなくなっている。
▼このように店舗数を減少させながら、事業継続の生命線である既存店・売上高は成長を維持しているのだ。それは、引き続きネットスーパーが好調であること、ネットスーパーの宅配サービスで新規に高額所得者層を集客していることなのだろう。多店舗出店で成長するという「チェーンストア理論」が新たな局面を迎え始めているのだ。EDLPにローコストオペレーションに加え、アプリの使い勝手の良いUI(User Interface)、カスタマー・エクスペリエンスの向上が富裕層のネットスーパー利用に結び付いているようだ。
2024/03/02