アジアを狙うか、ウエルシア・ツルハ連合・・・

この欄でも何回も書かせて頂いたが、ドラッグストア業界の統合が止まらない。ウエルシアホールディングスとツルハHDは2月28日、経営統合の協議を始めると発表した。ウエルシアの親会社イオンが投資ファンドから約1000億円でツルハHD株を取得し、更に、段階的にツルハ株を買い増して統合をリードしていく。27年末までに株式交換でツルハHDがウエルシアHDを完全子会社にする方針だ。ウエルシアは上場廃止となる見通しとある。

▼イオン、ウエルシア、ツルハの3社は、2月28日に記者会見を開いた。日経新聞の報道によると、現状における2社合計で2兆円強と国内ドラッグ市場の4分の1を占める売上高について「5年後をめどに3兆円にするのが目標だ。アジア首位となる世界企業を目指す」とツルハHDの鶴羽順社長が述べたとある。アジア展開も見据える巨大なドラッグストアが誕生することになるのだ。

▼世界のドラッグストアの状況(21年実績)は、1位が「ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(米国)の1220億ドル、2位も米国の「CVSヘルス」の1001億ドルで群を抜いている。日本の2社は、5位のウエルシアホールディング90億ドル、6位ツルハHD80億ドルとある。売上高で世界5位となる2社連合が目指すのが、高齢化が急速に進む中国・東南アジアの20億人市場で、世界の大手が未開拓の市場に先手を打つ事になる。

▼国内市場での成長は、食品スーパーやコンビニエンスストアより高いが、人口減少で出店余地は先細りしている。25年には、1店舗あたりの人口は5993人と、14年比で4割減との試算も出ている。ドラッグストアの海外展開は長年の課題だった。最も多いマツキヨココカラ&カンパニーで63店程度(23年12月末時点)に過ぎない。この2社の合計でも31店舗にとどまる。規制対応や薬剤師の確保などの壁をどう越えられるか課題になるだろうが、飛躍を期待したい。

2024/03/04