小売業各社の2月は閏年や天候など好条件が重なり好調に推移した。1月に比べ改善した業態や企業が多いようだ。理由は、閏年(3%程度の押上)に加え、曜日配列が有利に働いた。上旬に首都圏で大雪影響を受け、後半に寒い日もあったが、全国的に気温の高い日が多かったため、衣料品を中心に春物商品がよく動いた。インバウンド需要の高い伸びだが、円安効果に加え、中国の春節休暇の期づれ効果を高めた。株価高の好影響は、百貨店などで高額消費を促している。
▼百貨店は高伸長したようだ。19年との比較でも良好であった。相変わらず高額品が好調、化粧品の改善が継続。衣料品を中心に春物商品の動きが良く、ボリュームゾーン向けが改善している。インバウンド需要も単月で過去最高を記録した。GMSとSMは改善したが、閏年の影響を除くと1月並かと思える。GMSは衣料品、住居関連、テナントの改善度合いが大きい。SMは順調な企業が多い。GMSも食品は良好、値上げ効果が続いている。節約志向がやや強まるなかで、PBやEDLP型の商品が伸びているようだ。
▼CVSは、客単価を中心に小幅改善した。CVSの既存店は平均日販で算出公表されるため、閏年の影響は吸収される。各社とも客数は落としたが、客単価が改善している。バレンタイン商戦や販促関連で高単価商品の動きが良かったことによる。DgSの既存店売上は、風邪薬や花粉関連商品が伸長した。調剤も風邪の流行等で処方箋枚数が伸長した。主要外食企業の既存店は前月よりも伸びが高まった。消費者の外食需要が底堅いなかで、中小飲食店閉店など店舗数減少しており、大手チェーンは相対的に有利に推移しているようだ。
▼数値の羅列になるが、SM業界、2月の上場企業各社の業績は次の通りである。
◎アークス:既存店6.9%(客数4.5%・客単価2.3%)、全店7.7% ◎アクシアルリテイリング:既存店7.9%(客数7.2%・客単価0.5%)、全店9.7% ◎いなげや:既存店6.6%(客数3.4%・客単価3.1%)、全店6.3% ◎オークワ:既存店▲0.8%(客数▲1.1%・客単価0.3%)、全店▲0.9% ◎関西フードマーケット:既存店5.6%、全店3.8% ・関西スーパー:既存店1.2%、全店0.2% ◎ダイイチ:既存店5.3%、全店10.0% ◎バローHD:既存店8.5%(客数4.5%・客単価3.8%)、全店9.4% ◎ハローズ:既存店8.9%(客数6.8%・客単価2.0%)、全店12.4% ◎ベルク:既存店10.7%(客数5.9%・客単価4.5%)、全店15.5% ◎マックスバリュ東海:既存店4.9%(客数2.7%・客単価2.1%)、全店6.7% ◎マックスバリュ西日本:既存店4.6%、全店4.2% ◎ヤオコー:既存店11.8%(客数7.9%・客単価3.6%)、全店14.6% ◎ヤマザワ:既存店▲1.4%(客数6.1%・客単価▲6.6%)、全店1.0% ◎ユニバース:既存店5.6%、全店 8.2% ◎U.S.M.H:既存店2.1%、全店2.6% ・マルエツ:既存店6.1%(客数3.9%・客単価2.1%)、全店6.6% ・カスミ:既存店▲3.3%、全店▲2.7% ・マックスバリュ関東:既存店2.6%、全店2.6% ◎ヨークベニマル:既存店4.7%(客数2.2%・客単価2.5%)、全店6.3% ◎ライフコーポレーション:既存店5.2%(客数 2.2%・客単価3.0%)、全店7.3% ◎リテールパートナーズ:既存店6.0%(客数2.3%・客単価3.6%)、全店10.1% 以上(資料:大和証券『小売業界のマンスリー』
2024/03/25