ドラッグストア(DgS)の動向になるが、(昨日からの続き)生鮮強化に本腰を入れたフォーマットも現れはじめている。ウエルシアHDとイオン九州の合弁会社である「イオンウエルシア九州」が運営する「ウエルシアプラス」だ。食品はイオン九州、非食品はウエルシアHDの商流を活用することで、双方で専門性の高い売場を構築したフォーマットだ。テナントやコンセでなく自社での展開が始まった。競争激しい立地の中で、需要開拓が進められている。
▼このような動きは、食品スーパー(SM)が受ける影響は当然の事だが大きくなる。特にフード&ドラッグによる食品の価格訴求は脅威になる。取引条件だけでの低価格訴求には限度があるので、SMの多くは、価格で対抗することは難しくなりそうだ。商圏人口の減少や人手不足によって不安定になりがちな経営環境の中、フード&ドラッグの台頭によって存続の危機に立たされているSMもあるに違いない。
▼ただ、フード&ドラッグの生鮮戦略は、未だ完全とは言い難いようだ。品揃えも少なく鮮度感もあまり感じられない。DgS+αの域を出ていない店舗も多いようだ。コンサルタントは、業界誌「Diamond Chain Store」誌のなかで、「生鮮領域では先進的なクスリのアオキすらも、導入したコンセや買収したSMのレベルに左右され、店によって生鮮のクオリティには大きなブレが生じている。一時は警戒しても、今では『生鮮を武器で十分に戦える』と踏んでいるSMも多いのではないか」とコメントしている。
▼そもそも生鮮の位置づけがSMと違うのだろうが、「Genky DrugStores」や「ウエルシアプラス」のような専門性の高い店舗も増えている。課題ある生鮮戦略だが、SMにとっては、価格競争では優位に立つことが難しい。生鮮で集客できても、加工食品・日配品の買い回りによって売上を奪われるケースも少なくない。「コスモス薬品」のような、徹底したオペレーション標準化による圧倒的なEDLPと高速出店を維持しているような企業は無視できそうもない。
2024/06/06