Walmartが証券取引委員会に提出したアニュアル・レポートによると4年連続で設備投資額が二桁増になっている。DXなどオムニチャネル・リテーラーとしての投資が積極的になっていることによるものだ。25年1月通期中に、米国内の店舗数を10店減少させながら売上高、既存店売上高も前年を上回っている。その中で、米国内の設備投資費はで206.05億ドルとなり前年の176.95億ドルから16.4%も増加しているのだ。
▼米国内の設備投資の内訳だが、「Supply chain, customer-facing initiatives and technology(サプライチェーン、顧客対応の取り組みとテクノロジー)」「Store and club remodels(店舗改装)」「New stores and clubs, including expansions and relocations(新規出店等)」の3つに区分けしている。目立ったのはDX等を含む「サプライチェーン、顧客対応の取り組みとIT」で前年から23.5%も増加し146.03億ドルとなったのだ。
▼日本円に換算する必要もないが、1ドル150円換算で約2.2兆円規模となっており、驚くような投資額となっている。興味深い数値はROAが、7.9%になっていることだ。業種によって異なるものの一般的にROAは、5%以上であれば資産を効率的に利用して利益を生んでいる優良企業とされている。ネットスーパーを含むECを本格的に拡大した17年当時のROAは7.2%、19年には3.4%と落ち込んだが徐々に改善、15年の8.2%に迫る勢いとなっている。
▼ただし、未だにネットスーパーが赤字なのにROAが改善しているのは「Market place」の出品企業が50%も拡大しているからだ。広告代理店事業「Walmart Connect」の売上も直近四半期は前年比で24%も増加している。EC事業の黒字化以上に、ネットスーパーで富裕層客まで集客出来ていることでMarketplaceに出品業者が集まりやすくなっていることを重視しているようだ。これにより出品手数料や広告料などの売上が得られる。ECの弾み車が動き出したように思える。
2025/03/27