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コーネル大学RMPジャパン事務局からのお知らせ

Program Director’s Eye

7月訪問の米国小売業のいまは・・・③

2024年の米国小売(自動車、ガソリンなどの燃料を除く)の市場規模は、成長が鈍化したのか対前年比1.7%増の4兆3724億ドル(約634兆円)でありインフレ率2.9%を上回れていない。関税強化、物価高などによって消費者の景況感が悪化する恐れもある中、小売各社はECを成長ドライバーとして事業規模を拡大。企業間で連携・参入が増えたことで、市場全体のEC化率は29.1%に達した。今後もこの傾向は続き、経営環境は新たなフェーズへと移っていくとみられる。

▼24年の販売額ランキングトップ10は前年からの顔ぶれは変わっていないが、4位~7位の間で変動が見られた。1位「Walmart」、2位「Amazon.com」、3位「CVS Health」、そして前年5位だった「Costco Wholesale」が4位、4位だった「Kroger」が5位となっている。6位と7位も前年から順位が逆転し、6位「Walgreens Boots Alliance」に次いで、7位「Target」となっている。8位以降は変動なく、8位「Apple」、9位「Albertsons」、10位「Home Depot」の順だ。

▼販売額上位10社のうち、4社が対前年比減という結果に終わっており、厳しい経営環境にあることがわかる。Walgreens Boots Alliance(前年対比▲1.6%)、Target(▲0.6%)、Home Depot(▲1.3%)が前年に続き販売額を減らしており、さらにCVS Health(▲2.2%)もマイナス成長に転じた。食品スーパーで1位のKrogerは、2年以上協議が続いていたAlbertsonsとのM&Aが昨年12月に破談となってしまった。このM&Aの過程で、独禁法審査を通過するため両社で計579店舗を「C&S Wholesale Grocers」へ売却している。

▼しかし、連邦取引委員会の反対によりM&Aは実現せず、両社が店舗網を縮小しただけに終わった。英国「Ocado Group」と提携している自動フルフィルメントセンターへの多額投資が影響し、EC事業は伸び悩んでいる。24年度のEC売上高は130億ドルで、総売上高に占める構成比は9%。売上高自体は前年度を上回ったものの成長率は鈍化している。ランキング上位10社の小売市場全体に占める割合(占有率)だが、順位の変動はあるが21年以降の顔ぶれは変わっていないが、21年の40%が24年は43%となっており上位企業による市場の寡占度が年々高まっているのがわかる。

2025/06/16