何年も前になるが、北海道にある企業の教育担当の方と話をさせて頂いた時に、「人材開発は投資と考えている。投資と考える以上、リターンの多寡を気にする」との発言があった。
コーネル大学RMPジャパンの開講式直後の講義には、この話から始め、「皆さんの企業は、皆さんに投資を決定した。どれだけの利回りの残せる経営資源になるかだ」と伝えている。
▼日本の企業の多くが、新入社員教育への投資は、非常に大きい印象がある。反面、マネジャー教育や上級管理職への投資が少ないように感じてしまう。
新卒一括採用が慣行の我が国では、新入社員を一時期に大量採用し、いっせいに社会化するための教育を施していく。そこに大量のコストが投じられているのだ。日本では、「人材開発」というと、新入社員への教育をさしてしまうケースも少なくない。米国などでは、「人材開発」というと、むしろ管理者(職)教育という感じがする。
▼勿論、各企業とも人材開発計画に基づく階層別研修などは行われているが、2日~3日で、「経営者からの企業理念・薫陶」「心構え」「コンプライアンス研修」「ハラスメント研修」「考課者研修」などが多いように感じる。これらに加え、重要なのは、管理職になる(なった)人が、これから相対する現実の課題である、仕事を遂行するに知っておきたい現場のリアル、部下を動かすスキルや自己成長を客観的に見る機会を用意してあげることだと思う。それも、「管理職になる直前」と「管理職になったあと」のタイミングでだ。これから現場の管理職への支援のあり方、強化が課題になって来るはずだ。
▼大変なことは、すべて現場で起こる。能力やスキルが多様な大量の人材をマネジメントしなければならないのは「現場の管理職」なのだ。日本でも、専門性を持つことが求められるジョブ型の雇用にシフトしていくことは避けられないだろう。複雑化するビジネス環境の中で、高度なスキルを持った人材が求められている。ビジネススキルをいかに高めていけるか、企業にとっても個人にとっても焦眉の課題である。(2021・10・17)

