コロナ禍は消費行動に大きな変化をもたらしました。「米国の消費者の36%が別のブランドの商品を試用し、73%がそのままその商品を使い続ける」とマッキンゼーのレポートに載っていました。そうなると、よく知られた有力ブランド商品か手頃な価格で、付加価値の高いプライベートブランドが有利になって来るように思います。
▼21年2月開催のスーパーマーケットトレードショーにコーネル大学講師陣が『2021年の米国小売業』というコメントを寄せてくれましたが、そこで、「コロナ禍を乗り切るには、我が社の経営理念(世界観)を発信することが出来るかだ。(中略)ポイントは、自社ブランド商品または価値訴求の商品の開発が進むかだ。ローカルは、今後も重要なコンセプトになる」と話されていました。実際、2020年の米小売市場におけるPBの売上は前年比11.6%増と急伸している状況です。コロナ禍での内食需要の高まりが大きな要因なのでしょうが、PBに求める価値や役割も変化しつつあるようです。
▼しかも、『DIAMOND Chain Store』誌に掲載されていたのですが、ロックダウン中にPB商品を使い始めた消費者の80%が、これからもPBを利用し続けるという事実があるようです。KrogerのPB担当ディレクターも、コロナ禍でPBの位置づけが変化したと指摘、「PBを単にNBの模造品ではなく、新しい味や目新しい料理が体験できる革新的商品とみなすようになった。驚くような価値でプレミアムな経験を提供するPBに関心を寄せている」と講演の中で話されているとのことです。米国の消費者もPBに対する見方、PBの価値そのものが大きく変化しているのです。価格だけでなく、独自の価値をいかに訴求できるかが、コロナ禍を経てよりますます重要になって来るに違いありません。
▼「他社と差別化できる分野で複数のPBを新規投入する」と発表する小売業が多く見受けられます。食品・飲料の消費トレンドおよび21年のトレンドは、「健やかさ」や「コンフォート(落ち着く、楽になる)」といったキーワードが共通して上がっているようです。
(2021・11・3)