「米国小売業」:消費市場の変化とそれへの対応 ㉑

米国在住ジャーナリストの岩田太郎さんの記事が『DIAMOND Chain Store オンライン』で発表されていました。今、米国小売業界でポイントシステムが見直され、ディープラーニングを加味したDXが盛り上がりを見せているというものです。顧客購買パターン分析に基づいて機能するポイントアプリを中心に、自動化された提案で客とのコミュニケーションを最適化し、エンゲージメントを最大化させることの活用のためなのでしょうか。

▼2021年に入り、Walmart、Kroger、Albertsons、Hy-Veeなど、SMチェーンにおいて、過激なポイント付与競争が起こっているというものです。背景は、食品価格が2.6%も上昇するなどインフレ傾向下、消費者の節約志向を上手に利用して固定客づくりを推進しようというものと思われます。最終的な狙いは、究極のDXとしての、アプリダウンロードを前提としたAIマーケティングの推進、オムニチャンネルにおけるエンゲージメント増加、顧客コミュニケーションの最適化、さらなるデータ集積と活用、宅配のプロモーションツールなどの実現を目指していることは言うまでもありません。

▼岩田さんは、Albertsonsの例を挙げていましたが、ダウンロードアプリである「For U」会員は、アプリで提示される値引き率が新聞の折り込み広告や通常会員割引価格よりも格段に優れており、例えば、店頭価格が6ドル99セントのアイスクリームは、通常会員は6ドル49セントで購入できますが、アプリをダウンロードした会員は、3ドル20セントで購入出来るという太っ腹なディールでハートをつかむ作戦が展開されているようです。点数制約はあるようですが、これに1ドルの買物に応じて、1ポイントが付与されることもあり、エンゲージメントとブランドロイヤルティを高めることに寄与しているものと思われる。

▼結果、21年3~6月期のFor U会員数は前年比18%増加、実数で2670万人に達し、売上高で13%増、既存顧客維持率は94%と好成績を記録しているとのこと。エンゲージされた顧客は、通常の顧客の4倍のお金をアルバートソンズに落とすとのことです。リテイル「DX」の小売業的狂騒曲なのかを見守ることが必要ですが、日本でもポイント付与により収集したデータ活用を考える機会が来ていると考えなくてはならないと思われます。

  (2021・11・21)