流通大手グローバル企業の戦略は・・ ③

良品計画が展開している店舗名(バナー)は、無印良品をはじめ、MUJI com、MUJI to go、Café MUJI、Café & Meal MUJI、IDÉEなどですが、こちら「良品計画」も8月期決算で、大幅な増収増益となっております。

▼営業収益が4536億円(前期比13.0%増)、営業利益424億円(同154.8%増)、経常利益453億円(163.7%増)、純利益339億円(前期は純損失69億円)と黒字化しました。コロナ禍前の2019年と比較してもすべての利益が上回ったのです。営業利益率は9.4%と極めて高い数字です。うち国内事業の営業収益は2969億円(同15.0%増)、利益は285億円(同150.2%増)。ハウスウェアやインナーなどの値下げで、売上が2割伸び、強化部門の食品がこれらの数字の牽引役を果たしているようです。一方、海外では、中国・台湾・タイを主力市場とする東アジア事業の営業収益が1255億万円、利益は229億円。欧米事業の営業収益は176億円、こちらは損失で21億円。西南アジア・オセアニア事業の営業収益は134億円、利益は8億円。海外はコロナの影響が長引く地域もあり、19年水準には至らなかった。米国事業はChapter11(連邦破産法11章)を申請し、再生計画案は20年12月に現地裁判所の承認を受けている。

▼21年9月1日に堂前宣夫専務取締役が社長に昇格し新体制となりましたが、堂前社長は、1969年生まれの52歳。1998年にファーストリテイリングに入社、柳井正会長兼社長の片腕として知られていた人です。新中期経営計画で、30年8月期に「売上高3兆円、営業利益4500億円、国内・海外合わせて2500店体制」という目標を掲げており、「日常生活の基本を担う」「地域への土着化」という小売業の実現を目指しています。

▼生活の基本を支える基本商品を完璧に完成する。そのために生産力を身につけ、同時に産地が発展する産業をつくる。これによって年純増100店を出店していくとし、「地域への土着化」の一環として、9月には地域事業部体制をスタートさせ、組織風土改革に取り掛かった。また、「自立した店長を育成し、自律的な組織風土をつくる」として、自分で商売を回せる人材の採用と育成に投資していき、「オーナーシップをもった社員を事業活動の主役に据え、地域に根差した個店の活動、個々の社員や事業関係者の活動が公益に寄与する、「公益人本主義経営」を実践します」と表現しています。

(2021・11・30)