新薬を創出する力に関して日本は世界の一角を担っているはずですが、残念なことに新型コロナウィルスのワクチン開発では海外に遠く及んでいません。米国のファイザーやモデルナ、英国のアストラゼネカという欧米勢に頼ることになってしまいました。今後を考えますと、いつまた新しいウィルスが流行したとしてもおかしくない状況でしょうから、次の有事に備えた体制づくりを急ぐ必要があるはずです。
▼日本経済新聞が毎年発表している「ヒット商品番付」が、12月3日付日経MJに掲載されました。デジタル化やサステナビリティー(持続可能性)重視などで大きく環境が変わる中、これまでの常識とは異なる新時代の到来を実感させるものがたくさんランキングされていました。相撲番付に倣ったものですから、東西の横綱が気になります。今年の東の横綱は1990年代半ば以降に生まれた、「Z世代」であり、西の横綱は、投打の二刀流で日米を沸かせた大リーガー「大谷翔平」でした。
▼東の横綱「Z世代」は、子供の時からスマートフォンやSNS(交流サイト)が身近にあったデジタルネーティブです。ミレニアル世代と共に、これからの日本社会の「主役」となっていく世代です。この世代には、環境に配慮したサステナブル商品への関心、脱プラスチックや食品ロス削減などに取り組む姿勢を感じられます。味の素は、この「Z世代」に的を絞った部署を立ち上げ「Z世代が今後の社会の中心になっていく」と指摘する程です。小売業から見ますと、マス・マーケティングには効果は低いでしょうが、デジタルマーケティング時代の主役なのです。
一方、西の横綱は、米国大リーグでア・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選ばれた「大谷翔平」選手ですが、本場である米国で、野球の常識を塗り替えました。経済効果への貢献も大きかったはずです。彼は、27歳で若いのですが、東京五輪・パラリンピック大会でも、10代の選手の活躍が目立ちました。SM業界も、若い人を取り込む施策が本当に重要になるはずです。
▼大量生産・大量消費、それを前提とした消費常識は変わり始めました。作り手に共感できることがブランド選択の重要な要素となっています。スターバックスは、47都道府県ごとに味を変えた「47JIMOTOフラペチーノ」を期間限定販売して地域との絆を深めています。人気の新興ブランドを集めたショールーム型の「売らないお店」も注目された、そんな1年でした。
(2021・12・06)