厚生労働省が今年6月に公表した人口動態統計によると2020年の子どもの出生数は84万人で、前年を2万4000人(2.8%減)下回りました。1人の女性が生涯に生む子どもの数を示す「合計特殊出生率」も1.34となり、前年より0.02ポイント下がったのです。
▼2017年に国立社会保障•人口問題研究所がまとめた「日本の将来推計人口」では、生まれる子どもの数が年84万人台となるのは2025年の予測でした。これから見ても、少子化は確実に進んでいるのです。大きな影響を及ぼしたのがコロナ禍であったことは間違いありません。若い世代が結婚や出産を先送りした影響と考えられるからです。影響は今年に入っても続き、出生数は80万人を割り込みそうだと言われています。出生数が80万人を割り込むのは2033年と予測されていましたので、10年以上足早になっています。
▼ベビーブーム(1947〜49年)の時には年間260万人以上が生まれ、「団塊の世代」と呼ばれましたが、比較すると、3分の1以下の出生数になっています。「後期高齢者」世代の人数は多く、それを支える若い世代の人数が、予測より少なくなりつつあるのです。
▼これによる、大きな影響が見られるのは、年金や医療、介護を中心とする社会保障制度になりますが、もう一つ重要な問題が人手不足になることです。現役世代が1000万人以上減ると、人手不足が顕著になります。SM(スーパーマーケット)業界でも切実な問題となって来ます。
▼日本の社会保障を維持し、経済面での活力を維持するため、海外から労働力を受け入れるための「特定技能」制度がありますが、コロナ禍もあってか、5年で最大35万人の受け入れを想定していたが、2年たった時点で2万人程度に留まっています。日本の生産技術を途上国に広めるという国際貢献を目的とした「技能実習」制度があり、これを活用している企業も多いと思います。ただ、外国人に対する劣悪な待遇など問題も多く、外国人と共生しながら日本社会を維持•発展させる方向には向かっていません。
働き改革などの施策を実現しながら、この人手不足の課題解決に向けての本格的な議論が必要な時を迎えているのです。
(2021・12・08)