新型コロナウィルスで振り回された一年になってしまいましたが、今年も残すところあと僅かになりました。このコロナ禍は、これまで意識してこなかった事を炙り出した格好にもなってしまいました。大きな問題は世界との比較で日本の不振が目立っていることです。岸田政権は新型コロナ対策を優先課題に掲げ、感染防止と経済活動再開に向けて過去最大の経済対策を打ち出し、補正予算として過去最大の35兆9895億円を可決しました。少しでも経済の地盤沈下防止に作用して欲しいものです。
▼日経平均株価は、経済のバロメーターともされるものですが、2月に30年ぶりに3万円を回復し明るさを予感させました。しかし11月末には年初水準に逆戻りしてしまい、更に新型コロナの変異型「オミクロン型」の感染拡大が報じられ、企業業績への影響も懸念され始めております。
▼最近、話題になっている、「生産性」の低さが気になります。11月に日本生産性本部が発表した「日本の労働生産性の動向2021」には、日本の時間当たり労働生産性は4,986円。実質労働生産性上昇率は前年比0.4%減で2021年に入り再び低迷しております。1人当たり名目労働生産性は805万円。上昇率は3.4%減になり1995年以降で最大のマイナス幅になってしまいました。OECD加盟諸国37ヶ国比較で見ても、時間当たり労働生産性は21位、1人当たり労働生産性は26位で、ここでも世界との比較で不振が目立ちます。政治は別としても、経済は一流との評価を受けた時代もありました。世界をリードする企業が多く、存在感も極めて高かったのですが、多くの企業で熱意、活気が失われていったと思わざるを得ません。
▼一部の革新的な企業を除き、新たな価値創造へ向けた熱意を持つことなく、同質化した集団を形成し、居心地のよい世界で現状維持を続ける企業がまん延しているのかも知れません。コロナ禍での特需とも思える業績の伸びの中、私たちの小売業界も立ち止まっていたのかも知れません。今こそ創業の原点に返り、存在意義を組織に浸透させ、企業価値向上を実現せねばならないと思います。今のままではSM業界の地盤沈下を止めるのは難しくなってしまうかも知れませんから。
(2021・12・24)