原材料高騰にどう戦いますか?

「スーパーマーケット販売統計調査」を見ますと、新たな変化を感じますが、個々の企業の動向は如何ですか?

11月実績は、既存店昨年比が98.5%、全店昨年比も99.7%で昨年を割ってしまいました。それでも、一昨年との比較での既存店昨年比は101.9%、全店昨年比も104.9%と未だ健闘しております。ただし、特需で潤ったSM(スーパーマーケット)や郊外型のホームセンター、家電量販店などは反動減が発生しており、その反動減が大きくなる傾向にあります。そこで、前年実績はコロナ禍の異常値であるので各種経営指標数値は前々年を基準に、営業や経営状況の良し悪しを判断しているという企業が多くなっています。

▼SM業界は、内食需要を取り込もうとする異業態・異業種から食品販売へ参入が相次ぎましたので、それへの対応として、広告宣伝費やポイント経費増、従業員の時間給アップによる人件費上昇などの販売管理費が膨らみ始めています。品切れさえ気を付けていれば、ディスカウントせずに売れた昨年同時期とは異なり始めているのです。そして、リアル店舗の業績は業態や立地により明暗が分かれましたが、ECはどの小売業態、外食業態までも大きく伸ばしており、今後の戦略の柱と位置づける企業も多くなっており、SMでも同様な動きが見られます。

▼緊急事態宣言解除後の個人消費は、未だ期待したほどの回復しておらず、小幅な伸びに留まっています。その上、原油価格の高騰、物流費の上昇や国際的な需給バランスの崩れによる食品原材料の値上がりを理由に食品メーカーは小売価格への転嫁を進めています。小麦粉や食用油は値上げを繰り返し、パン、パスタ、ポテトチップス、コーヒー、冷凍食品、マーガリンなどの希望小売価格の値上げが来年2月にかけて目白押しの状態で、これは経験したことのないような原材料相場の高騰になっているのです。

▼食品メーカーの動きに、小売業界は一定の理解は示しつつも、ストレートに価格転嫁には抵抗感を持つ企業が多く、ひとつ間違えれば消費を冷え込ませることにもなりかねないため、とても神経質になっております。価格を据え置く企業、値上げの一部を価格転嫁する企業、一部商品を値下げして売上げ獲得に動く企業があります。皆さんの企業は、どう対応しておりますか?

(2021・12・25)