世界の飢餓人口は約7億2000万~8億1000万人おり、10人に1人が飢餓、慢性的な栄養不足に苦しんでいる。一方で2050年には、97億人に世界人口は達する見込みである。土地や水に限りがある中、飢餓問題、未来の食料をどう賄うか。拡大する中間層の蛋白質危機への手立てをどうするのか。解決への光明となるのが「フードテック」の最先端テクノロジーなのだ。
▼「フードテック」とは、食(Food)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語である。食品産業界のシステムは、SDGsの第2目標の「飢餓をゼロに」はもちろん、環境やエネルギー問題とも密接に関わる重要な分野になる。フードテック市場は、2025年には700兆円に達するとの予測がある。日本でも、フードテックを活用して日本の国際競争力を高めるための取り組みを加速させ、2020年10月に農林水産省が、産学官連携による「フードテック官民協議会」を立ち上げている。
▼フードテックによって生み出された最先端のテクノロジーの中で注目を集めているのが、新しい蛋白源として登場した「代替肉」のジャンルである。代替肉は大豆ミートやグルテンミートといった製品として、既に市場に出回っている食材だ。米国では、肉ではないのに肉売り場に置かれるなど、一般的な食材として認知されつつある。コーネル大学RMPジャパンでの修了授業で米国を訪問した時にハンバーガーを食べたが、肉との違いが判らない程の完成度であった。
▼また、これまで人類が食してこなかった食料を生産するフードテックもある。修了生の企業である(株)ユーグレナ(東京都港区 出雲 充社長)では、ミドリムシを粉末にしてクッキーやドリンクにした製品、必要な栄養がすべて採れるグミなど、新食材と呼ばれるものを次々と開発している。そして昆虫は、栄養価が高く、環境にかかる負担も低いため、商品開発やレシピの研究が進められている。食材として認められれば、低コストで大量生産も可能になる。
他にも細胞培養、植物工場、陸地のプラントで魚を育てる技術やITやロボティクスを活用して新たな価値を生み出す動きも活発化している。このように、さらなる活用が期待されるフードテック業界に関する最新情報を収集することは重要になっている。
(2022・01・11)
