ニューヨーク州イサカにあるコーネル大学訪問時には、幾つかの店舗見学を実施しているが、受講生の間で人気の高い企業のひとつにTrader Joe’s(トレーダージョーズ)がある。この企業に関するニュースが出ていた。顧客データ会社Dunnhumby(ダンハンビー)が毎年発表している「好きな小売業インデックス(Retailer Preference Index)」の最新ランキングでTrader Joe’sはランクを大きく落としたというものだ。
▼このランキングは、財務データだけでなく、1万世帯を対象にしたオンライン調査を基に顧客との結びつきなども数値化して順位付けをおこなっている。指標には価格や品質、利便性の他、デジタル化に関するものも含まれている。Trader Joe’sは2018年と19年でトップだったが、2020年には首位から陥落し2位になった。そして2021年の発表では3位になり、今年の発表となる2022年版では7位と1年で4つも後退したというものだ。
▼Trader Joe’sの代りに、昨年の6位から3位に順位を上昇したのが1917年創業でマサチューセッツ州などに90店を展開するスーパーマーケットのMarket Basket(マーケット・バスケット)だ。この企業は、コーネル大学RMPジャパン事務局でお力を発揮頂いた太田 美和子さんが翻訳し大きな話題になった『奇跡のスーパーマーケット』(2017年 ダニエル・コーシャン著)のあの企業だ。店舗数や売上高など企業規模は小さいながらもTrader Joe’s以上の評価となっている。なお、ランキングで昨年から首位となっているのはAmazonである。
▼Trader Joe’sの典型的な顧客像について、調査会社 Numerator(ニュミレーター)社は、「顧客は白人もしくはアジア系であり既婚者。年齢は25~44歳となる。この顧客は年間13回来店し、買上点数は15アイテム、客単価は47ドルとなる。顧客の学歴は大卒で年収は8万ドル(約880万円)以上となっている」と調査結果を述べている。この典型的な顧客像からTrader Joe’sにとって難しい課題も持ち上がっているのだ。年収が高くなると忙しくなるため、ネットスーパーの利用が増える傾向にある。しかも、既婚となれば家族がいるため、宅配サービスやカーブサイド・ピックアップを利用して時間の節約を図りたいはずだ。しかし、Trader Joe’sではネットスーパーをやっていない。インスタカートなど買物代行サービス業者の活用さえ見合わせているのだ。Trader Joe’sの商品を買うには、お店に行かなければならないことになる。パンデミック以降、不可逆的にネットスーパーが成長している中で、EC(Electronic Commerce)へのシフトも必要不可欠なことになるのかもしれないと思わせる出来事だ。
(2022・01・25)
