「品揃えの良い店」「品揃えが悪い店」とは?

セブン&アイ・ホールディングスの元会長であった鈴木敏文氏が「品揃えの多さが選択の妨げになる。選択肢を絞り込むことがお客さまの立場に立つということだ」と話されていたことがある。小売業では「品揃えが良い」「品揃えが悪い」の議論があるが、日経新聞(1月24日朝刊)で「買うたび後悔、選択肢のワナ 豊富な品ぞろえは幸せか」と題して『Inside Out』欄に掲載されていた。Trader Joe’s(トレーダージョーズ)の扱い商品アイテム数の少なさと関連して興味深いテーマだ。

▼多くの品揃えや多様な生き方は豊かさの象徴だ。ところが選択肢が多すぎて、選ぶたびに後悔や選んだモノへの不満が募る現象が最新の心理学実験で見つかっていると言うものだ。その上、世界で生産する食料は3分の1が途中で無駄になり、豊かな国ではロスの多くが消費者の周辺などで生じているとみられる。人々は新しい商品やサービスを求め、品揃えの強化は満足度を高めるとされてきたのだが、温暖化や環境破壊、食糧難の懸念が強まり、グローバルな発展にはロス削減が優先課題となったとも述べられている。

▼記事の中で、一般社団法人 全国スーパーマーケット協会の『2021年スーパーマーケット年次調査報告書』から品揃えアイテムに関する例として「惣菜の品揃え調査」を取り上げていた。「前年から増えた」との回答は都市圏で4割に達し、増加傾向は続く。売場によっては約200種類にもなる。豊富な品揃えは「メーカーや店が消費者の多様な要望に応えるために工夫した結果である。売り切るのが理想だが、惣菜ではロスの割合が約1割に達し、他の商品に比べて高い」と報告書の事務局記述内容を転載していた。他の商品でも、トマトが15~20種類、ヨーグルトが110~150種類程度になるとも。

▼ネット通販も、究極的な品揃え数を訴求しているサイトもあり、消費者の選ぶ機会は増えるばかりだ。僅かな違いの新商品で価格維持するメーカー戦略が、品数を増やしていくと分析する専門家がいる。商習慣が品数増加に拍車をかけていると見る意見もある。抜きん出た新商品を開発しない限りは、似通った商品が数多く市場に並ぶというものだ。

選択肢や選択の自由が多いほど豊かになれるとは限らないが、選択が必要なのは確か。何を品揃えし、何を手放すのか。消費者側も小売業側も選択肢過多の時代に備える知恵を絞る必要がある。ロス(無駄)削減と同時に我が社の企業(組織)構造を創造するための品揃えを考えてみたい。

(2022・01・29)