『AutoStore』というノルウェー生まれのロボットストレージシステム

食品小売業各社のネットスーパーの利用が増加している。足元ではコロナ前と比較すれば売上高が2~3割高い水準で推移している企業が多いと聞く。大手企業による積極的な設備投資も目を見張るものがある。イオンは、英国のOcado Group(オカド)と提携をし「次世代ネットスーパー」を開始する。23年に建築面積約3万3600㎡のCFC (Customer Fulfillment Center)を千葉県千葉市で稼働させる。セブン&アイ・ホールディングスも神奈川県横浜市に、「イトーヨーカドーネットスーパー新横浜センター(仮称)」を建設中だ。先行している西友と楽天グループは、既存センターに加え、神奈川県、大阪府、千葉県の順に計3カ所の開設を予定している。

▼国内のネットスーパー事業はAmazon Japanでも苦戦しており、自前での事業拡大を目指していた「Amazonフレッシュ」も、ライフコーポレーションやバローホールディングスとの提携に留まっている。これから見ても、大型物流センターへの投資が本当に採算に見合うのかは未知数だなのだ。ヤオコーもセンター型で1986年に事業展開したが上手く行かなかった。センター出荷型モデルでの成功事例を耳にすることは極めて少ないので、ポイントはセンター型の課題をどうクリアするかにあるはずだ。

(株)オカムラ ホームページより

▼ただ、Ocadoのネットスーパーのシステムである 「オカド・スマート・プラットフォーム(OSP)」 は、先進の自動倉庫システムやピッキングロボット、ユーザーフレンドリーな受注の仕組み、AIによる物流センターから顧客宅までのラストマイルにおける配送効率化など、ネットスーパーの課題になるポイントを総合的にカバーする運用システムとのことだ。特に自動倉庫システムは、フッカー教授も「1,000台以上のハイテクロボットがまるでダンスをするかのように、約9,800坪の倉庫で稼働している」と話されている。『AutoStore(オートストア)』というノルウェー生まれのロボットストレージシステムなのだが、高い収納効率を活かし、多品種少量のロングテール商品を扱う通信販売業者の物流拠点やメーカーの保守部品サービスセンターなどで活用されているもので、(株)オカムラが日本における正規販売店になっている。格子状に組まれたグリッド内に、専用コンテナが隙間なく格納され、その上を縦横無尽にロボットが走行し、作業者の待つポートに専用コンテナを搬送するものになる。日本でも既に40件以上の導入実績がある。「生活協同組合コープさっぽろ」も導入しているが、生産性で1.8倍、保管アイテム数は、同じスペースで4倍になったとのレポートがある。

▼テクノロジーは日々進化をしている。店舗出荷型に加え店舗併設型のダークストアの設置にも乗り出している企業もある。ネットスーパーを展開するか否かを明らかにした後には、どの方法で「価値提案」を推進するべきかの研究が待っている。

(2022・02・08)