「Ocado Smart Platform」は、 日本のネットスーパー市場にどんな影響を及ぼすのか

英国のネットスーパー専業企業であるOcado Group(オカドグループ)傘下のOcado Solutions(オカドソリューションズ)と独占パートナーシップ契約を締結したイオンは、イオンネクスト準備(イオン100%出資)を設立し、「次世代ネットスーパー」の本格稼働に向けて邁進している。イオンネクスト準備のバラット・ルパーニ社長は、「ネットスーパー市場は30年には3兆円に伸びるといわれている。その中でマーケットシェア20%(6000億円)を目指し、日本におけるナンバーワンネットスーパーを目指す」と語っていた。その段階では黒字化も視野に入れているとも。コーネル大学のダン・フッカー教授のビデオ講義第4回の中で「KrogerのDigital TransformationとOmni Channelへの投資が功を奏しているか考えてみよう」の項目とも重なる。

▼「次世代ネットスーパー」はセンター型だが、イオンリテールでは現在、店舗でのピックアップによるネットスーパーを手掛けているし、グループ企業には独自に店舗型のネットスーパーを手掛けてもいる。これらは事業開始を契機にまとめていく意向なのだが、23年のスタート後も既存のネットスーパーは並走させ、商圏に応じて統合していくとみられる。

▼Ocadoの話題を続けてきたが、日本のネットスーパー市場にどんな影響を及ぼすのか本当に気になるのだ。

そのOcadoだが、2019年に英国の大手小売企業Marks & Spencer(マークス&スペンサー)が、オカド傘下でネットスーパー事業を運営するOcado Retail(オカド•リテール)株の50%を取得し、Ocado RetailはOcadoとMarks & Spencerの合弁企業になった。結果、創業以来続いていたWaitroseとの関係を20年に終了、Ocado.comでは、Marks & Spencerの全商品を取り扱っている。Ocadoはもはやネットスーパーに関わるノウハウや技術を外部企業に売り込むことで収益を上げる「ソリューションプロバイダー」としての側面を強めている。ただ、Ocadoとの契約は、技術を販売•提供するだけで、事業成功を保証する内容ではないはずだ。逆に、成功時の報酬は上積みされるであろう。以前、所属していた企業に対する英国 Dunnhumby社からの提案内容がそんなであった。

▼これから注目しなくてはならない事が2つある。イオンの「次世代ネットスーパー」事業開始とその影響、そして開始に向けたイオンのプロモーション戦略だ。店頭はもちろん、TVCMを始めとするあらゆるメディアを駆使して事業紹介をするはずだ。結果として、ネットスーパー自体の認知度が高まり、既存事業にとって、これまで以上に顧客獲得の大きなチャンスが到来するかも知れない。

(2022・02・09)