ロシア、ウクライナに侵攻

ロシア連邦軍が、ウクライナ共和国に侵攻した。ロシア系住民の保護という名目をつけてである。平和維持活動と称してはいるが、隣国を砲撃、軍隊が侵入した。戦死者も出た。

日本経済新聞のコラム「春秋」欄に書かれていたが、ロシア国旗の三色、白・青・赤は、ベラルーシ人、ウクライナ人、ロシア人を示しているという。それだけ密な関係を積み上げてきた歴史を持ちながら、侵略行為がなされている。

▼2014年のクリミヤ併合のときもそうであったが、北京冬季オリンピックの終了を待っていたかのような行動だ。パラリンピックは3月4日~13日の開催予定であるにも関わらずに。国連の安全保障理事会が開催されているが、ロシアの国連大使が議長という事で、どう役割を果たすのだろうか。ただただ、無力感が残る。言葉はない嫌な日を過ごすことになった。

▼香月泰男(1911〜74年)という洋画家がいる。好きな画家で山口県立美術館、香月泰男美術館(長門市三隅)には何度か足を運んだ。自らが体験した太平洋戦争とシベリア抑留をテーマとする一連の油彩画、「シベリア・シリーズ」を描いた画家である。シベリア抑留の記憶を基に、60年代以降に、故郷の山口県で制作し続けたのだ。日常生活の中で、不意によみがえる記憶をそのたびに絵画化するという過程で描いた兵役と抑留を主題とする作品は、「抑留生活もの」、「敗戦シリーズ」、「ソ連もの」などと呼ばれるようになった。抑留者の多くは、シベリアでの体験を語りたがらない。「言葉にできないほど過酷な環境であった」とは推測に過ぎないが、本当にそうであったと思われる。香月も決して語ることはなかったという。香月の中で語ることと描くことは、どのように違っていたのか。「シベリア」を描き続けた香月の思いを考えると「戦争」は本当にひどい話なのだ。

▼70年を超える人生を送って来た小生にも、シベリアに何年間も抑留され、やっと帰国した人たちを、小さな駅(埼玉県比企郡小川町駅)に何度も迎えに行った記憶がある。勿論、小学校からの指示で、組単位の行動で歴史も何も理解できない年齢であったが、シベリアのある国に特別な感覚を抱いた。そして、それは今日まで消えた事はない。

力による現状変更の試みには限界がある事は長い歴史が示しているが、武力の前では人は弱いものだ。ただ、どんな理屈があっても武力による解決には絶対反対しなくてはならない。

試練なのだろうが、この出来事もただ祈るしか出来ないことが情けない。

(2022・02・26)