3月に入った。3月5日は二十四節気のひとつ「啓蟄」になる。地中で冬眠していた虫が地上に這い出るという意味で、日没も17時40分(5日・埼玉県川越市)と遅くなり、春の到来を感じる時期だ。年度末、学年末の社会的な区切りの月でもある。卒業、入学・新学期の準備、就職活動、入社準備などの学生。異動・転勤などの社会人。共に新生活で忙しくなる月だ。
▼昨日まで、日本経済新聞『私の履歴書』欄に文化庁長官を務めた宮田亮平さんの創造性あふれる半生が連載されていた。イルカのモチーフで知られる金工作家で、東京芸術大学で「鍛金」を学び、アーティストとして活躍するかたわら、東京藝術大学の学長を務め、文化庁長官として東京オリンピック・パラリンピックに尽力した人だ。わたくしは、日本スーパーマーケット協会に勤務していた4年間、協会事務所が日本橋にあったので、三越本店に足を運ぶ機会も多かった。三越新館のエンブレムを始め館内のパブリックスペースに置かれた「シュプリンゲン」(飛翔)シリーズが宮田亮平さんの作品だった。三越の企画展『宮田亮平展-海へ-』にも足を運んだ記憶がある。
▼この宮田亮平さんが、連載の中で「私が生まれ育った佐渡は四季がはっきりした土地である。冬が長くてとても厳しい。太陽がのぞく日はほとんどなく、海が荒れに荒れる中、人々はひたすら春を待つ。フキノトウやユキワリソウが顔をだせば、心が躍る。待ち遠しい季節の訪れだ。」「赤く色づいた柿の葉をみて季節の移り変わりに気づいたり(私はモミジよりも柿の葉に秋を感じる)、ふっと香るキンモクセイに足を止めたりする。そんな『ときめき』を大事にしながら日々を送れたらすてきだ。私自身もいつまでもときめいていたい。制作活動を通して、たくさんの人の『ときめく心』を呼び起こしたい」と綴っている。
▼少し、取って付けた様な言い方になるかも知れないが、この部分を読んだときにリアル店舗の売場もこの感動をお客さまと共有し続けることが大事と痛感した。店舗とデジタルの一体化が必要なときだからこそである。
三越本店新館にあるエンブレムは「イルカたちのようにお客様の夢や憧れを創造し、そしてご一緒に成長を続ける水先案内人として、大きく飛躍したい。」という思いを込めて制作したとの説明書きがある。
(2022・03・01)
