「リテールテックJAPAN2020」が1日~4日の4日間、東京ビッグサイトで開幕されている。この展示会は、次世代の店舗や街づくりに関する製品・技術を集めた総合展示会「日経メッセ 街づくり・店づくり総合展」(主催:日本経済新聞社)のひとつで他には「JAPAN SHOP 2022」「SECURITY SHOW 2022」「建築・建材展 2022」などで構成されている。期間中に約8万人の来場を見込んでいるという。
▼流通業界を取巻く環境のひとつに生産年齢人口減少に伴う人手不足があり、生産性をあげるためのキーと言われているのがDX(Digital Transformation)、自動化、機械化だ。早速、足を運んでみた。ロボット技術やIT(情報技術)の利活用など、流通業を取り巻く様々な課題に対応する技術や設備がもう少し分かりやすく展示されているかとの期待もあったが、それほどでも無かった。DXも紹介、デモの時期から、実用化に向けて新しい局面に移行しているという事なのだろう。展示物から興味を引くテクノロジーを「知る」から、明確な目的を持ち活用する場面を想定して対応するテクノロジーを「探す」時を迎えたようだ。ただ、スーパーマーケットに勤務している(いた)経験から言えば、2週間ほど前に開催された「スーパーマーケットトレードショー2022」の展示内容の方が分かりやすく参考になった気がする。総合的に理解できたし、それぞれの機器、ソフトウェアの役割や位置づけが理解できた。スーパーマーケットトレードショーの時、もう少し時間を掛けて説明を聞けばよかったと少し反省した次第だ。
▼ただ、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.Holdings)が出店していた。独自のデジタルブランド「ignica(イグニカ)」の製品・サービスを紹介していた。今年開店の話題店、カスミBLANDE(つくば並木店・研究学園店)に導入されている製品・サービスだ。スマートフォンがレジになる決済サービス「Scan & Go」。好きな時間に買い物ができ、こだわり商品のネットショッピングも楽しめる「Online Delivery」。店舗でのAIデジタルサイネージを活用した広告配信・マーケティングサービス「イグニカ サイネージサービス」などが紹介展示(ブースNo.RT1610)されている。U.S.M.Holdingsの各店舗だけでなく、このシステム導入を検討する企業、店舗も増えるものと思う。
▼使いやすいユーザーフレンドリーな「セルフ POS」等を目指しているとの説明があった。スーパーマーケット企業の現場からの発想、意見を日々検証しながら「アジャイル開発」を推進しているという。このアジャイル開発(agile software development)とは、ソフトウェアやシステムの開発手法の1つなのだが、機能単位の小さなサイクルで、計画から設計・開発・テストまでの工程を繰り返すことで開発をすすめる手法だ。特にagile(素早い・俊敏な)というニュアンスが重要になっていると思う。米国Walmartの近年の組織運営マインドもアジャイルと分析する研究者もいる。
(2022・03・03)