東京証券取引所(東証)が、2022年4月に市場区分を変更する。現行の5市場(市場第一部、第二部、JASDAQスタンダード、マザーズ、JASDAQグロース)から、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つに市場が再編されるのだ。東証の時価総額は約6.5兆ドル(21年末)で、ニューヨーク証券取引所の約27.7兆ドルに大きな差をつけられている。上海証券取引所も約8.2兆ドルある。
▼今回の東証再編は、グローバルスタンダードの観点から海外投資家の支持を得ることも含め、健全化するためのものと言われているが、「一部上場企業」の看板は、採用活用や取引先との仕事を円滑に進める面での効果も大きい。ただし、東証の上場企業数は4000社近くあるのだが、約6割の銘柄が第一部に集中している。東証一部上場企業といえば、優良企業である証のように認識されるため、企業の多くは東証一部上場を目指す。東証株価指数(TOPIX)は、日本経済の動向を示す代表的な経済指標として用いられてきた。
▼ただし、上場後の業績停滞や、株取引の流動性が低い企業なども見受けられるようになり、TOPIXは代表指数とはいえず、投資対象としての機能性と市場代表性を兼ね備えた指数が存在しないとの声、5市場のコンセプトが曖昧で投資者にとって利便性が低い、また上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けの点で期待される役割を十分に果たせていないなどが課題として指摘されていた。そこで東証は、とりわけ、東証一部に代わる「プライム市場」を「最高峰」市場とするため、厳格な基準を設定した。代表的な新基準だが、1つは、「流通株式比率」の引き上げ。第一部に相当する「プライム」ではこれが35%以上に設定された。もうひとつは、時価総額1000億円以上かつ売上高100億円以上、もしくは直近2期の利益合計が25億円以上という基準になる。
▼知り合いの小売業IR担当者は「プライム市場を目指している。新上場基準の準備は、決して安易ではない。猶予期間のなかで、実際にどこまでが認められるか注目している。特にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)において、より高い水準で全原則が適用されるが、当社がすべての項目を満たせてはいからだ」と語っていた。
新ルールについて、自社の株式上場の意義や目的を確認するよい機会になるはずだ。プライムをめざし、大規模な変革を進めていくのか、それとも、現状の体制を維持するほうが自社らしさを保て、成長を加速できるのか…。ここでも、各社の立ち位置が問われることになる。
(2020・03・11)
