一昨日、東京証券取引所(東証)が、2022年4月に市場区分を変更する。現行の5市場から、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つに市場が再編される件を記載したが、アップ後、直ぐに親交のあるアナリストから連絡を頂いた。「これは、上場している企業ランクの話ではなく、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)改革に関する点を重視して考えるべきだ」というものであった。
▼2015年に始まった上場企業の企業統治改革が正念場を迎えているということだ。金融庁と東証とでリードして来た企業統治指針の改訂になるのだが、2015年に東証が、上場企業に適用し、以後3年おきに改訂する方針に従い2018年、そして2度目の改訂として2021年6月から適用が始まっている。今回改訂の最大の特徴が、東証の市場再編と紐づいていることにある。プライム市場上場企業に対し、高い水準の企業統治指針の達成と体制の整備を求め、グローバル投資家が求める高いガバナンスの水準を備えることを狙ったという。
▼この企業統治指針は、法律や規則で守ることが義務づけられているものではなく、各企業が守るべき共通の規範を示す原則に従って運用されるものだ。実際の運用は、Comply or Explainと呼ばれる方法で実施される。これは、「遵守せよ」、「従えない場合はその理由を説明せよ」ということだ。そして、各企業の企業統治指針の妥当性は株主をはじめとした外部の利害関係者によって評価され、対話を通じて自律的に修正されていくことが期待されているものという。今回の改訂で追加された項目は、まず「取締役会の機能発揮」。プライム市場に上場する企業は、会社とは利害関係のない独立社外取締役を、取締役会の3分の1以上は選任すべきとした。また、取締役会は、経営戦略と照らし必要な取締役のスキルを特定、各取締役の知識や経験、能力などを一覧化した「スキル・マトリックス」を開示すべきともしている。管理職など組織の「中核人材の多様性の確保」も求められ、女性や外国人、中途採用者の管理職の登用を増やすべきとし、そのための目標や人材育成の方針を示す必要があると指摘している。そして「持続可能性をめぐる課題への取り組み」、「グループガバナンスのあり方」などの4つの特徴を持つ項目であるという。
▼連絡をくれたアナリストは、プライム市場の時価総額基準が国際的にみて緩いこと、そして現在の東証一部企業は、改善計画を出せばプライム市場に移行できるという「経過措置」が設けられており、市場再編本来の目的が歪められたのではないかと危惧していた。グローバル基準のガバナンスの品質確保を目指した改訂が、経営の質を落としてしまうことになりかねないとも語っていた。持続的な企業価値の向上が改革の目的なのだから、Explain(その理由を説明せよ)こそ重要と考え企業統治改革を進めて欲しいと思う。上場企業であろうとなかろうと大切なことである。
(2022・03・13)
