課題解決には最先端テクノロジーの力が必要不可欠・・・

1年程前に出版された書籍『食品産業の未来 ネスレの挑戦』(日本経済新聞出版)は、ネスレ名誉会長 ピーター・ブラベッックーレッツマットの書いたものだ。昨日(18日)、コロナ感染者増加のために延期されていたFuture Store “NOW”の推進協議会が開催され、テーマが「フードテックとフードロス」であったので、改めてこの本の頁をめくってみた。

▼世界最大の食品会社ネスレが「食品メーカー」から「栄養・健康・ウェルネス企業」へと転身をはかった経緯が書かれている。2016年に執筆されたものだが、SDGsを事業戦略に取り込むというものだ。「健康で長生きしたいという願いを叶えるには、食生活を一から見直すことが重要だ。世界人口が増加する中で健康的な生活を送るには、食料生産に新しい科学的知識を取り入れる、健康長寿に適した食生活を実践する、天然資源を効率的に活用するフードシステムを実現する必要がある」とし、食品の未来を描く上で、食品業界、政治そして個人の責任を追及し今後の展望をまとめている。

▼「Food Business News Daily」に、このネスレのネスレUSAマーケティング責任者、アリシア・エンリオ氏へのインタビュー記事が載っている。

「Eコマースは2022年度も成長を続け、消費者の支出を巡って、実店舗と激しい競争を展開するだろう」と述べ、ネスレは売上高全体に対するオンライン売上高の割合を、13%(2020年度)から25%(2025年度)に引き上げる計画を持ち、デジタル・マーケティングへの投資を増やす必要があるとし、米国の消費者の2022年に想定される動きを3点述べていた。

先ずは、パンデミック以降の「新しい仕事のルーティン化」で、成人の47%は家庭で朝食と昼食をとるようになった。以前は、朝食を摂る人37%、昼食26%であったという。そして、リモートワークは、新たにコーヒーを飲む習慣を提供した。特にミレニアル世代(25歳~40歳)は、仕事の合間に飲むコーヒーを楽しみにしていると述べている。また、「スナック類をとる機会も増加」し、すべての飲食機会の中で48%を占めており、1日の中で何回もスナックを取っているようだ。この傾向が人々の健康にどのような影響を与えるか心配であると語り、そして、「植物由来の製品を好む傾向が顕著」になっているという。植物由来は、ダイエットへの高まりやZ世代の好みに合うことから、若者の間で一般的な存在になっている。Z世代は、サステナビリティにも関心が深いことから、我々も影響力に驚いている。植物由来の“鶏肉”も話題を呼ぶだろうと話し、ネスレの傘下で植物性加工食品を手がける米スイート・アース(Sweet Earth)の大豆で鶏肉を再現した「マインドフル・チキン」ブランドに触れていた。「この製品は2019年に発売されたが、米国では牛肉よりも鶏肉の市場規模が大きく、従来以上にアメリカ人は鶏肉を愛するようになった」と話していた。

▼推進協議会の中でも「植物性食」について、不二製油(株)の事例紹介もあったので、後日報告したいと思う。様々な社会課題を解決するためには最先端テクノロジーの力が必要不可欠であり、「フードテック」は、人類を救う鍵を握っているのかも知れない。動向に注意をしたいものだ。

(2022・03・20)