昨日は、『二十四節気』のひとつの「春分」の日だった。1年(春分点を出てから再び春分点に達するまでの太陽の黄道上の位置)を24等分し、約15日ごとの節気に分けたものが二十四節気になり、それぞれの節目に名前が付けられている。春分・秋分は、太陽は真東から昇り真西に沈むので昼と夜の時間がほぼ同じ長さになるので、春は春分を境に昼間の時間が長くなっていく。日が延びれば暖かくなり、秋になれば逆の意味から『暑さ寒さも彼岸まで』といわれるようになってきた。
▼この言葉は、文字通り『寒暖に関する気候の変わり目』を表すもので、厳しい暑さや寒さの中で、早く過ごしやすい季節が訪れてほしいと願う気持ち伝えるものだが、『悪いことは続かず、ちょっと耐えていればつらい日々も終わる』と諭す言葉としても用いられる。ウクライナ問題も早くそうなって欲しいと願う。仏教的には、彼岸(悟りの世界)は西に、此岸(煩悩と迷いの世界)は東にあるとされるので、真東から昇って真西に沈む秋分と春分は、彼岸と此岸がもっとも通じやすくなると考え、お墓参りをするようになったという。
▼お彼岸には、家族でお墓参りをすることが習わしとして根付いており、「おはぎ」「ぼたもち」をご先祖様にお供えするのが一般的な習慣だ。この「おはぎ」「ぼたもち」は、基本的には同じ食べ物なのだが季節によって名前が異なる。文献を調べると他の呼び名も出ていた。春の牡丹餅(ぼたもち)、夏の夜船(よふね)、秋の御萩(おはぎ)、冬の北窓(きたまど)と4つの呼び分け方があった。それぞれの季節の花「牡丹」、「萩」に由来して呼ばれる。基本的に餅のようには米を搗かないため、「つき」がないとして、「月のない夜は、いつ船が着いたかわからない」ので「夜船」、「北側の窓からは月がみえない」ことから「北窓」と呼ぶようになったとか。近年は、季節を問わず「おはぎ」とよばれることも多い。
▼季節ごとに呼び名があるように通年の食べ物であったようだ。スーパーマーケットでは、惣菜部門で育成した主力商品のひとつになっている。コンビニエンスストアが、「おにぎり」や「おでん」を主力商品に育成したように、商品開発の典型的な成功モデルと言える。私たちにとっての革新とはこういうことと考えている。売場の中に、家庭の食卓の上に革新の材料はたくさんあるのかも知れない。
惣菜や中食利用に関する意識調査によると、消費者が利点と意識するのは、機能面で「便利」「自分で出来ない美味しさや味」「欲しい量」、情緒面で「家族が好き・お気に入り」「ブランドや話題性」との結果がある。これからの商品開発は、情緒面での追求が大事になりそうだ。その為にデジタル技術やSNSを上手く活用することで 消費者の情緒面にアピールして関心を惹き、おいしさや商品開発のストーリー、企業の姿勢を伝えることが重要になる。3連休を利用して店舗見学を実施したが、SM各社の「おはぎ売場」を見ると、その企業独自の味や商品づくりに於ける“こだわり”が見てとれる。各社の商品開発の手法(こだわり)は、これからの独自化戦略の中心的な考え方になるはずだ。
(2022・03・22)