スーパーマーケット(SM)販売統計調査の2月度実績(速報版)が22日に公表された。SMの業績トレンドを月単位で把握するには、全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会の3団体が公表するこの販売統計調査を参照するのが適切だ。「商業動態統計」(経済産業省)ではSMと総合スーパー(GMS)が区別されておらず、「チェーンストア販売統計」(日本チェーンストア協会)はもう少し異業態企業の実績が加味されている。
▼統計は270社を調査したもので、SMの全休企業というわけではないが、エリア別であったり、企業の保有店舗数別であったりと、業界全体の傾向を把握するには有用だ。2020年からのコロナ禍で、SMの売上・利益は伸びた。20年の既存店売上は業界平均で5.0%増、21 年は前年を割ったが、19年対比ではなお高い水準にあった。22年2月度の売上推移を見る限り、SMは業態として成長を続けている。2月度は、総売上高昨年比で102.5%(既存店100.9%)、食品合計102.6%(同100.9%)と既存店でも昨年比を超えることが出来ている。
▼SM業態の魅力は、地域に密着していることである。反面、中小規模のチェーンの多さ、他業態に比較して利益率が低いことなどの弱点もある。日常普段の消費を支えるための商品が多く、人に依存したオペレーション体制にも起因するのだが、この事が、コロナ禍にあっても柔軟に、そして堅実な対応ができたことにもなったのだ。
SM業態にも広く行き渡ってきたDX(Digital Transformation)の目的は、業態の課題である生産性の改善にある。人口減でマーケッ卜が縮小し、少子化で働き手が不足していくこれからの社会では、現状の生産性や利益率のままでは成長できないという危機意識を抱き始めているSM企業が増えている。
▼これからは、コロナ禍の反動減はより厳しくなる可能性が高い。しかも、足元は、商品価格上昇の中にあっても、競合対策に加え期末対策上の売上確保に向けた価格競争が激化しさを増している。今朝の新聞折り込みチラシもカテゴリー割引きの各社共演だ。ただ、これまでの企業経営は収益力が最終ゴールだったが、これからは、環境負荷の低減を伴う必要がある。日常生活に根差していて、来店頻度の高いSM業態だからこそ、環境対策に関しても生活者の消費スタイルに密接に関わるし、社会からの関心も向けられやすい。環境のサステナビリティという観点からも、生活インフラとして果たすべき役割を期待されると思う。
SM業界の環境対策は、商品に関わることだけでない。物流、使用電力、冷媒の問題など多岐にわたることを「電力需給ひっ迫警報」の中で改めて意識した。
(2022・03・24)