これまで以上に商品の調達力と物流システムを・・・

昨日からプロ野球も開幕した。各大学から卒業式の様子が伝えられ、各地からは桜開花の知らせが届けられている。埼玉県の桜の名所のひとつである大宮公園の桜は5部咲きになった。コロナ禍が少しでも収まれば、ウクライナ問題が一日も早く停戦まで漕ぎ着ければと願い、春の華やいだ気分が充満する事を祈るばかりだ。小売業は、2月、3月決算が多いので、既に新しい期が開始され、または直ぐに開始されることになる。

▼コロナ禍の影響に加え、ロシアのウクライナ侵攻による影響を考慮しながらの新しい期はどのように展開しなくてはならないのか気になる。少しの希望は、新規感染者数が減少する中で個人消費が上向いてきていることだ。百貨店の高額品販売や飲食店の予約状況が上向いているという。日本百貨店協会が24日に発表した3月1~17日の全国百貨店売上高は既存店ベースで前年同期比4%増という。2月は0.7%減であったから回復して来ている。依然、アパレルなどは厳しいようだが、消費は経済再開と感染対策を両立させる段階に入ったように思える。外食業界も落ち込みは底を打ったようだ。

▼日本チェーンストア協会の発表でも、2月の既存店売上高は前年同月比6.1%増で6カ月連続のプラスとなった。食料品は4.4%増と伸びている。コロナ禍で打撃を受けた業界と恩恵を受けた業界の乖離も小さくなっている。ただ、外出自粛などによる消費抑制でもたらされた「強制貯蓄」が積み上がり、日銀は20年の1年間で約20兆円に達したと試算しているので、高級ブランドや時計などの高額品への消費が高まる気配があるようだ。しかも、OECD(経済協力開発機構)は、昨年12月時点での21年度実質個人消費の増加率見通しを、日本1.3%増で、米国の8%増、英国3.7%増に比べ回復の鈍さを指摘している。

▼スーパーマーケット(SM)業界も、これからの戦略は、これまでの延長線上とは違う環境変化が起きていることを前提に考える必要がありそうだ。現在起きているサプライチェーンの混乱は、1973~74年の第1次石油危機と79年の第2次石油危機を合わせたよりも長く続いていると指摘する評論家もいる。一時的現象と考えて収束を待つのではなく、新常態と考える必要があるのだ。グローバル化を前提にした従来の価値観から、生産地と消費地を近づける必要性を認識しておくことが大事だ。SMにとっても、これまで以上に商品の調達力と物流システムを磨く必要がありそうだ。

(2022・03・26)