新しい冷凍技術の活用も・・・

冷凍食品の拡販について、「これからは、Trader Joe’sの売場づくりが注目されるであろう」と書いたが、Trader Joe’sのファン投票で常にトップクラスにランクインする人気商品「冷凍マンダリン・オレンジチキン」がある。我々にとってのTrader Joe’sの店舗見学時は、先ずはエコバッグの購入(笑)、そしてお土産用のクッキーバター、Everyday Seasoning(調味料)、White Balsamic Vinegarなどと、どうしても加工食品に目が行ってしまう。しかし、Trader Joe’sの冷凍食品こそ商品開発のモデルともいえる主力商品群なのだ。日本人にとっては日常だが餃子や春巻き、枝豆までも品揃えされている。「冷凍マンダリン・オレンジチキン」も、衣のついた冷凍チキンをフライパンで軽く炒め、同封されているソースをかけるだけの簡単メニューで美味しい。ホテルでの調理体験のある米国研修プログラムで何度も食べる機会を得た。購買も、家庭でのストックを目的として2個も3個も買う消費者が多いと聞く。

▼米国小売業も、冷凍食品の売上は伸びている。昨年の売上高は664億ドル(約7兆6000億円)は、19年比較で23%増という実績だ。最近では、量り売りの冷凍食品も登場したとのニュースがある。具材とソースを固めた様々な冷凍食品がそのままケースに入れられて売られている。消費者は、直径20cm程の丸い容器に、好みの商品を欲しい分量だけ入れて購入できる。1ポンド(450g)当たり7.99ドルで一律価格。クローガー、ホールフーズ・マーケットやショップライトなどで展開されているとのことだ。

▼日本では、冷凍機器メーカー(株)テクニカン(神奈川県横浜市)が、肉や魚などの食材から有名飲食店の料理、スイーツ、生酒までを冷凍で提供する専門店を仙台市にオープンした。「TOMIN FROZEN仙台富沢駅前店」で、商品は全て同社の液体凍結機「凍眠」で凍らせたもの。80坪ほどの売場に冷凍食品約200品を展開している。この企業の凍結方法だが、マイナス30℃のエタノール製剤で急速凍結させる技術で、採れ立て・作り立てのおいしさをそのまま維持できるのをウリにしており、「冷凍握り寿司」などの珍しい商品が多数並んでいるという。液体凍結はエタノールの目減りがあるので、従来の冷凍庫に比べランニングコストは倍近いが、商品の質が格段に良くなるのでコストに十分見合うとのコメントもある。

▼現在、「凍眠」の納入業者は約3000社に上り、機種もいくつかあり、厨房やバックヤードでも手軽に扱える100V仕様、1台約80万円程度のものもあるという。スーパーマーケットのバックヤード設置を提案しているが、小売業では導入に踏み切る企業はまだ少なく、レストランなどが多いという。その代わり、液体凍結機「凍眠」で凍らせた商品の販売への取組は始まっている。伊藤忠食品が「凍眠市場」とブランド化し、量販店や百貨店、EC向けに販売を開始しており、首都圏のオーケーなどが新店の一部で導入している。ドラッグストアのツルハが札幌市の2店で試験展開。また横浜高島屋では、ポップアップフェアで2月の上旬に展開したという。

導入の可否は別として研究に値するかもしれない。一度、試食だけでも試みたいものだ。

(2022・03・28)