ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会に対して、ネットでの発信だが、現状を訴えたことには時代の変化を感じる。しかも、議場に設備がないので議員会館を使ったことも日本の現状を表しているように思えた。大統領の話された子細は別として、日本を「アジアのリーダーとして」と言われたことには、面はゆい感じた人も多くいたと思う。アジアのリーダーであるならば、それなりの行動計画を示す必要があるが、昨今の政策には残念ながら見えない気がする。
▼原料の高騰と円安、物流コスト高のトリプルで、日本ではかなり厳しい生活環境が続くと思われる。生活関連物資は一度高くなると、生活の安定をするためには所得を上げなければならない。今の40歳代の人達の生活が一番打撃をうけるのではと思える。教育や住宅ローン負担を考えると厳しくなるからだ。こんな時こそ政策も大きな変換を必要とするが、発想が限定的だ。2022年度予算が国会で成立した。一般会計総額は過去最大の107兆円超の規模なのだが、その直後から追加経済対策を検討し始めた。やっている感だけが伝わってくる。
▼小売業も新しいフェーズを迎えている考えることが必要で、戦略を見直すべきだ。見直してみて現状を肯定する場合もある。思い切って舵を切るきっかけになることもあると思う。そのために、①戦略ポジショニングの見直しを実施、自社の顧客は誰なのか、どんな独自価値を提供するのかと思うかを明確にし、②事業モデルの変革につなげる。店舗フオーマットの転換、ネットスーパー展開などを施策する。これに基づく③商品バリューチェーンの強化が大事だ。商品競争力(価格競争力・収益力)の強化、PBのラインアップ拡大、生鮮品・総菜のバリューチェーン構築、サプライチェーンでの業務提携などを実行すべきだ。そしてこれを実現のため、④最適店舗オペレーションの構築することになる。オペレーションの徹底と顧客体験と効率的な店舗運営の実現だ。それには、⑤デジタル・テクノロジー(DX)投資と徹底活用がポイントになろう。デジタル・アナリティクス、顧客データを活用して品揃え、価格、販促等の領域を最適化する、客観的な数値をもとに最適化する経営へと進化させる必要がある。
▼既に、各社で新しいフォーマットづくりが始まっている。カスミの「BLANDEつくば並木店」などを代表にした動きだ。ヤオコーの「和光丸山台店」もそれかも知れない。ディスカウントストアの独自のモデルづくりも始まっている。楽天のスーパーマーケットへのアプローチは米国のそれによく似ている。それぞれ、業界のリーダーとしての動きに注目したい。
(2020・04・03)