世界中的なムーブメント、「メタバース」・・・

昨年10月から4回シリーズで、コーネル大学フッカー教授のビデオ講義があったが、その中で、「少し先の未来になるが」と前置きをして、「メタバース」に関する説明があった。直ぐその後に、米国のフェイスブック(Facebook)社が「メタバース」の火付け役になる出来事があった。社名をメタ(Meta Platforms)に変更し、「Facebook」「Instagram」などのSNS中心から、仮想空間でのビジネスに注力する方針を打ち出したからだ。

▼今や世界的なムーブメントとなっており、TVなどでも紹介されることも多くなって来た。呼応するように、スポーツブランドのNIKE(ナイキ)やadidas(アディダス)、ラグジュアリーブランドのGUCCI(グッチ)やLOUIS VUITTON(ルイヴィトン)など、アパレルを中心に多くの海外小売がメタバースに参入している。Walmartもメタバース上で事業展開する計画発表があった。「メタ(Meta:超越した)」と「ユニバース(Universe:宇宙)」からなる造語ということだが、共通の定義ははっきりと定まっていないらしい。インターネットで調べたが、「仮想的に拡張された物理的現実とデジタル化された現実の融合によって創り出される集合的な仮想共有空間」と出ていたが、概念的にもイメージが湧かなかった。

▼メタバースの例として、オンラインゲームプラットフォーム「Roblox」、「Fortnite」などがあると説明をうけたがこちらも縁がない。Nintendo Switch用ゲーム「あつまれ どうぶつの森」のようなものと聞き少しイメージできた。これまで、メタバースと聞くと、VR(仮想現実)ヘッドセットを使うものを思い浮かべていたが、PCやスマートフォン、ゲーム機などのデバイスでアクセス可能であり、すでに多くの人に利用されていたのだ。

▼現時点では、「複数のユーザーが集まり、アバターを通じてコミュニケーションが取れる3次元の仮想空間」と捉えておけばよいという。重要なのは、多くの人が集まっているという点にあるという。人が集まればコミュニケーションが生まれ、消費が生まれるからだ。「仮想空間」と「SNS」が融合したVRプラットフォームの基盤が築かれる日も近いのであろう。先進的な小売業は続々とメタバースでの事業展開をスタートさせている。「3次元のインターネット」と表現しているものもある。インターネットの普及により、消費者の購買行動やマーケティングの方法など一変してしまったことを考えると、メタバースもインターネットの登場に匹敵する影響をもたらすものであるならば、食品小売業としての活用方法を、今のうちからキャッチアップしておく必要もありそうだ。

(2022・04・08)