小売業界にいたのでゴールデンウィークをお客さまの立場で過ごすことはなかった。コロナ禍の始まる19年までは、話題の新店を見学するのが楽しみで何店舗も巡り歩いたものだ。しかし、ここ3年間は気が進まなかった。今年も家の周辺で過ごす2週間であったが、世の中は、まん延防止等重点措置もなく多くの人が外出を楽しみ、買物を楽しんだようだ。
▼ゴールデンウィークも終わり、新入社員の正社員登用式が開催される時期になると思う。もっとも、以前のような展開をする時代ではないのかも知れないが、長い期間にわたりそんなスケジュールであった。新入社員の人たちは、他の業界に就職した友人から、連休中の遊びの誘いや楽しい体験談などを聞き、「この企業に就職したことが・・・」とちょっぴり悩む時期でもある。五月病と大げさなものではなくても、人事を担当する者にとっては緊張感の高まる時期でもある。そんな時なので、知人と「人材」と「組織」についての話が弾んだ。「ツリー型の組織」、それとも「リゾーム型の組織」という言葉が出てきた。「リゾーム型の組織」という言葉を意識して聞いたことが無く、この説明を聞く必要があった。
▼知人は得意げに商業の歴史から話し始めた。商業には「組織」というものは事実上、存在しなかった。組織が生れたのは、チェーン理論による流通業(商業)の企業化と工業化、そのチェーンを発展させるための組織論によるものとのこと。それは命令する人とその命令に服従する人に二分したもので、チェーンストアは「ツリー構造」による組織であったはずだという。チェーンストア組織は、現代の商業には適合しないと言いたいらしい。そこで、業種の自然集合であった商店街での買物体験を超え、チェーンストアは「買物の楽しさと便利さ」を一挙に実現し、成長発展して来た事実に話題を移した。すると、今は「買ったモノの消費」が楽しいので、「買物行動そのものの楽しみ」ではなくなったという。今の店舗は、便利さに利点があり、買物は手段に過ぎないという。商業の工業化だけでなく、買物の工業化を推し進めてきたことになる。
▼そうなると、「買物の便利さ」の更なる進展が必要になるのだが、それにしても、いま求められている「買物の楽しさ」を店舗実現することも大事になるはずだ。バーチャル店舗の出現は予兆だと思う。この「買物の楽しさ」を実現するに必要な組織が「リゾーム型の組織」というのだ。リゾームとは「地下茎」の事だが、スーパーマーケット企業は、建前は「ツリー型」であっても、現場的には「リゾーム型」運営しか出来なかった。それが、結果的にはSM企業が多く存在している理由と知人は言いたかったらしいのだ。ある意味「リゾーム型の組織」では、店舗に自由裁量権を持たせずには運営できない。自由裁量権を行使する能力が必要になるのだが、配属された現場で「誰に会うか」が、その能力を向上させる一番のポイントになると言っていた。新入社員の多くが良い「誰か」に巡り合うことを祈る。
(2022・05・10)
