「リゾーム型の組織」のつづき・・・

昨日のこの欄を見たのか、「リゾーム型の組織」の話をしてくれた知人からタイミングを合わせるように連絡があった。「リゾーム型」に関する組織論は、島田研究室 島田陽介先生から学んだ内容とのこと。ヤオコーの事業モデル改革の原点は、島田先生の「個店経営」論であるので、知人も薫陶を受け継いでいるのであろう。

▼1998年のヤオコー狭山店改装時の考え方の基になったものが、島田研究室の「ライフスタイルアソートメント型スーパーマーケットづくり」提案である。脱コモデティディスカウント型戦略である。島田先生の説という事なので、詳細を聞かせて貰った。先生はセブン-イレブンの例を挙げていたという。先ず、商勢圏を商圏に分割し、その商圏を店舗で埋める。従ってセブン-イレブンの個々の店舗は、商圏拡大を狙うことは出来ず、商圏に住む限定された住民を頻度高く来店する「カスタマー」にするしかない。その為に商圏ごとの住民ニーズを発見し、提案することになる。それには個々の店舗にそれが出来る人を育てる必要があり、その人による個々の店舗でのニーズ把握と提案する「個店経営」することになる。

▼この条件を実現するには官公庁のような「ツリー型」では難しく、店舗ごとに人材を配置し、人材育成が出来るような「リゾーム型」組織をつくるしかないという。ただし、「ツリー型」組織の方が、つくるのも維持するのも容易のはずだ。ビッグストアの急成長の事実が証明している。ではなぜ、あえてリゾーム型の議論をするのかというと、フランチャイジビジネス特有の理由に加え、就業しても途中退社する人、それを躊躇しない人が、増加し続けている為という。「面白くない」「面白く出来るのであれば続ける」という感覚らしい。仕事は、それを続けることによってのみ面白くなる可能性が高まるはずだ。個々人の働き方を基本に全員参加型組織を創造することは、特にこれからの環境下では大切になる。

▼「リゾーム型組織」を育成するには、リゾーム型に育つか否かを採用時に見極めることがポイントだという。そして、意識して育てられる組織と教育計画が準備して、その人が自然に努力するような仕組みづくりが必要と話していた。その上での決め手が「誰に会うか」になると説く。「誰」とは勿論、既に企業にいる先輩である誰かである。組織は、結局は具体的な固有名詞で呼ばれる人によって創られ支えられるものである。具体的な人こそがリゾームを維持し、育成する決定的要因になる。是非、わが社、店舗での「買物の楽しさ実現」のための人材育成の方法論を議論して頂きたい。

チェーンストア理論的には、「店長」ではなく「ストア・マネジャ」が理想とされ、呼称されていた。そんな時に、ヤオコーは「店主」と位置づけた。

(2022・05・11)