新入社員が疑問視した「コンビニ」動向・・・

小売業の新入社員教育に参加した時の質問で、「業種」と「業態」違いは分かるが、「業態」と「フォーマット」の違いが分からないというものが多くある。日本語は難しく、何気なく使っている言葉は、概念規定してきちんと使っているわけでないので、改めて聞かれると説明に時間を要してしまう。「今年の百貨店業界の動向は、・・」と業界という言葉が加わると、「業界」も「業態」も「フォーマット」も同じ概念ですかと質問を重ねられてしまった。

▼コンビニエンスストア業界の動きについては、そんな新入社員にも気になるらしい。コロナ禍が逆風となったコンビニエンスストア業界だが、セブン-イレブン・ジャパンでも巻き返しを図れていない状況のようだ。22年2月期の既存店売上高前期比は0.7%贈、前期は2.4%減であったので挽回できなかったことになる。客数が前期の9.9%減からさらに1.2%減と落ち込んだことが要因なのだが、反面、客単価は1.9%増と伸びている。コンビニエンスストアの利用の仕方が変わり始め、ワンストップショッピングニーズへの対応が加速しているのだろうか、商圏内の新しい生活インフラとして存在を高めているようにも見える。

▼新入社員が疑問視したのは、「講義の中で、商品力に強みを持つセブン-イレブンと聞いたが、100円ショップのダイソーの商品が並んでいる店を見た」というもの。セブン-イレブンでも商品開発で不得意分野があるのかというものだ。確かにゴミ袋、水切りネット、ポリエチレン手袋などの日用雑貨を中心に品揃えを拡大している。まだ棚4段展開だが広げるようだ。コンビニが獲得を進めたい主婦層の需要を取り込むという目的なのだろうか。業界紙の調査では、栃木県内の約750店舗の数字だが、ダイソー商品の購入者は、発売以前と比較して、来店回数10%、買い上げ点数が3%、客単価2%伸びているとの結果が出ているという。

また、神奈川県を中心に約2000店舗では、イトーヨーカ堂で販売している「顔が見える野菜」シリーズの導入も始まっているという。商品の包材に貼付されたQRコードを読み取ることでトレーサビリティが確認でき、安全性を打ちだすことで安心につなげるもので、これまで不足していたメニュー提案につなげられるものと思う。

▼ローソンでも、良品計画が展開する「無印良品」の化粧水や文具、靴下、レトルトカレー、菓子など約200品目を販売するという。

コンビニエンスストアでは、コロナ禍での生活様式の変化に応じて、日用雑貨に加え青果などの普段使いの商品を充実させることで、商圏内で必要とされる店になろうとしている。新入社員の疑問だけでなく、同じ商品群を扱うわれわれ業態各社も、商圏内の新たな傾向として押さえておきたい点である。

(2022・05・13)