岸田首相が、6月には主要7カ国並みの入国対策を緩和する旨の発言があった。外国に行き来している友人からは、「鎖国」とも思われる入国規制で国益を損ねかねないとの声が聞こえる。首相の外向けリップサービスでないことを願う。各国とも様々な入国規制を実施してきたが、今春以降、ワクチン接種の普及などの条件をつけた上だが緩和や撤廃が進んでいる。
▼日本は、特異な入国規制を続け、観光目的の外国人の来日の禁止、1日当たりの入国者数1万人という上限をまだ設けている。入国者数の制限は、日本人と外国人あわせての人員数であり、コロナ渦前には、1日平均14万人が入国していたので、2万人に引き上げる案が検討されてはいるが、決して十分な数字ではない。上限値を設定しているのは主要7カ国の中では日本だけだ。また、外国人観光客の国内での消費は、19年には5兆円弱あったはずだ。インバウンドは円安が日本経済を浮揚させる貴重な機会と思われるので、再開を急ぐべきと考える。
▼新型コロナウイルスによるパンデミックは、リーマン・ショック時以上の不況の到来と騒がれた。解決しなくてはならない事項を3項目挙げたのだが、それは、感染予防と流通•サービス業成立の経済原則をどうするのか、これまで業界は、多くの人が高密度に集まることで成立してきたのだが、この矛盾をどう解消するのかにある。二つ目が、人口減少が進む現状で、インバウンド消費に代わる収益源をどこに見出すのかということである。円安が進むなかで、外国人の潜在的な購買力は上昇している。来日を希望する機運も高まっているはずなのに、入国規制が人為的に妨げているようなのは残念だ。勿論、小売業にあっては、自社のカスタマー創造とする本筋へと舵を切り海外への過度の依存を見直す必要はある。国全体で考えたら他国並みの開放政策に踏み出すときだ。
▼3番目が、世界的なサプライチェーンの分断、貿易の縮小に対する対策になる。この課題は、ロシアのウクライナ侵攻によって新たな局面を迎えている。混迷する環境の中で、われわれも国内も含めて調達物流を積極的に進めざるを得なくなりそうだ。
それにしても、科学的根拠は乏しいのだろうが、観光客の来日禁止については理由がよく分からない。コロナ対策上で観光客がより警戒を要するということも無いようにも感じる。そして、ビジネス目的の来日も、面倒な手続きが残り、日本に来るためのハードルはなお高いという。このままでは、世界から素通りされ、活力を失うのではないかと危惧する。
マスクを戸外でどうするかの議論以上に、経済対策を深める施策を議論して欲しいと願わざるを得ない。
(2022・05・14)
