全国スーパーマーケット協会など3団体が公表したスーパーマーケット270社の4月の売上高(速報値)は、既存店昨年対比1.3%のマイナスであった。生鮮食品が1.9%減と苦戦し、水産(3.9%減)と畜産(3.3%減)が数字を落とした。総菜は2.7%の増加で、好調を維持した。日配、一般食品、非食品はいずれもマイナスであった。地区別で見ると、関東(2.3%減)と近畿(3.1%減)が前年を下回ったが、北海道・東北、中部、中国・四国、九州沖縄はいずれもプラスだった。なお全店では、0.1%増である。
▼コロナ禍1年目、スーパーマーケット(SM)の部門で苦戦したのが惣菜部門になる。日持ちしない商品群は敬遠され、バラ売りなど出来なかったことが原因のひとつとみられた。ただ、コロナ禍2年目以降は、消費者の「調理疲れ」や、ワクチン接種が進んだことで来店頻度が回復するなどにより、売上は徐々に復活しつつある。SMの成長を牽引する部門であるという認識は今も変わりはない。共働き世帯の増加やライフスタイルの多様化などのニーズに加え、小売サイドにも独自性が出しやすく、荒利を稼ぎ易い利点があるからだ。
▼勿論、課題も多い部門でもある。人手不足や人口減少・高齢化、激変が予測される消費者のライフスタイル変化への対応、商品開発力や生産性の向上、そして原料原価の高騰などクリアしなくてはならないなどの課題を抱えている。店内加工で出来立て惣菜を販売することは重要だが、作業の全てを店内でやるには人時が掛かり過ぎてしまう。コロナ渦で数字を落としたことも切掛けとして、これらの課題解決に向けて、SM各社は惣菜部門改革に動き出している。惣菜工場(センター)の建設、稼働による効率的な製造体制づくりが顕著な動きだ。
▼強い商品づくりを実現し、商品のカテゴリーごとの品揃えを絞り込めれば、販売上位商品のシェアを更に上げられれば、手間を軽減させ、機会ロスや値下げ、廃棄ロスを軽減出来る。 異業態を含めた惣菜市場の競争は激化し始めている。コロナ禍でテイクアウトサービスを開始した飲食店が増えているし、フードデリバリーの利用者も増加している。家庭でも手軽にレストランのメニューが楽しめるようになった。SMの惣菜にとっては脅威であり、洋風・エスニックメニュー、高付加価値商品の開発も取組みが進んでいる。
良品計画は、小型店の「MUJIcom 東池袋」で店内製造の総菜や弁当を提供する新サービス「MUJI Kitchen」を開始した。今後も小型店に導入していくとしている。これら異業態を含めた激しい競争環境で消費者に選ばれるため、原価高騰への対応も含め、味や品質向上はもとより、各カテゴリーを深掘りした専門店風の売場構築の新しい戦いが始まりだした。
(2022・05・26)