農業界でもすすむインテグレーション・・・

日本の食文化は、自然環境と生態系、四季や風土、伝統、信仰、生活価値観や美意識、村や地域社会の各次元が複合的に絡まって生み出された独特のものである。その食文化が壊れそうなのだ。その食文化の基のひとつである農業に関しても、構造変化のスピードは速い。ここ15年で農家数は半減している。反面、年間出荷高1億円を超える農家が増加しているのだ。

▼農業従事者の平均年齢も67.9歳(2021年)と高齢化が進み、それに肥料や飼料の価格高騰が農家を追い詰めている。更に農家が半減するのは、5年程度になるという意見も聞く。足下での「供給過剰」と「安すぎる価格」の二つの問題が解消されるのを待つしかないという考えもあるようだ。農家の淘汰が進めば、これらの課題をコントロールすることが可能になり商機が生まれるだろうから、先行投資を行う価値はあるというものだ。そこで、商社系企業が先行投資によるビジネスモデル構築に動いているのだ。インテグレーター機能を強化してバリューチェーンを築き始めている。養豚や養鶏から始まったインテグレーションだが、養牛や野菜分野でも進むであろう。長島ファーム(鹿児島)、イセ食品(埼玉)が経営破綻したが、規模だけで生き残れる時代は終わったことになる。

▼コーネル大学RMPジャパンでも、「農業」「漁業」に関する講義を用意してきた。そこに出講頂いた、グリンリーフ、野菜クラブ代表 澤浦彰治先生が、農家が選ぶ「カリスマ農家」ランキングで3年連続の首位になった。これは雑誌『ダイヤモンド』誌が担い手農業家アンケートで「未来の農業のモデル」としての回答をランキングしたものになる。澤浦先生は、「レジェンド農家」ランキングでも3位、耕種農家1位となっている。農林水産祭の天皇杯受賞もあり、業界のトップランナーとして走ってきたように思える。

▼しかし、18年には大きな額の赤字に陥り冬のボーナスを社員に我慢してもらったという。それまでも経営の見える化や評価制度の見直しなどを実施してきたが、生産性向上に結び付いていなかったのだ。それからKPIを定めて達成状況を日々管理するなど社員のモチベーションアップに尽くして来た。現在は、ミールキットの工場を建設中で完成すると収益力も高まることが期待される。10年後は、100億円の売上げを目指している。天候の影響を受けやすい耕種農家が成長投資を行うための水準だとのことである。

澤浦先生には、このあたりの体験談を出講頂き、是非講義して頂きたいものである。

(2022・06・04)