米国で広がる「メリハリ消費」、日本でも・・・

米国の「ダラー・ツリー」は商品の大部分を1ドル25セントに引き上げたとのニュースがあった。原材料高や人件費の上昇を受け、小売りや飲食店などで価格の引き上げが目立っている。10日発表になった5月の米国消費者物価指数は、前年比の8.6%増と、40年5カ月ぶりの水準となったとある。エネルギーは34.6%、食品は10.1%の上昇だった。

▼ネットスーパーも解約が増えているという。サイト購入の食品の値上がりが、激しいことが理由のようだ。生活必需品の値上がりするなか、売上を伸ばしているのがPB商品だ。PBの製造者協会(PLMA)の調査によると、22年1~3月期のPB売上高は、前年同期に比べ6.5%増えている。Walmartも5月の決算説明会で、NB商品より低価格のPB商品を選ぶ傾向が出ていると指摘している。食品や衣料などの支出を抑えるという行動が顕著になっている。

▼一方、経済の正常化で在宅から外出へ消費の軸足を移しており、旅行やレジャーへの支出は、「節約はしない」との人が多く、消費意欲は旺盛のようだ。調査会社の発表によると、米国の消費者の73%が夏の旅行計画を立てており、平均費用は約2700ドル(21年から300ドル増)という。「人々は旅行のために貯蓄し、パンデミック前に計画した旅行に行く準備ができている」とコメントしている。物価が高騰する中にあっても、コロナ禍で控えていた旅行やレジャーにお金を使うというメリハリをつけた消費が広がっている。

米国主要小売業6社平均の22年2~4月期の在庫回転日数も68日と前年同期から1割程増えている。サプライチェーンの混乱を見据えて在庫確保に走ったのだが買い控えにあい、裏目に出ている。過剰在庫の処分が響いて四半期決算の悪化が目立っている。

▼米国は、クルマの価格も高止まりしている。中古車価格の指標も、原材料高や半導体不足で新車生産が滞ることの影響もあり、1年前に比べ10%、2年前から60%も上がっている。娯楽を支えた動画配信サービスの利用さえ見直す消費者もいるという。

生活必需品の値上がりは消費者の景況感を悪化させているのだが、旅行・レジャーは節約することなく活況を呈している。

高インフレの中、消費者の嗜好は変化している。小売業は商品や販売戦略の見直しが急務になっている。本当は、米国の小売業を見学するのに絶好の機会なのだが、思うようにはいかないものである。

(2022・06・13)