創業50周年を迎えた「大創産業」の戦略は・・・

コロナ渦も大分落ち着いてきた。13日の東京都の新規感染者は1000人を割った。月曜日であり、これまでも少なくなる曜日ではあるが喜ばしいものだ。日本の小売業界は、この間に業態を問わず独自化を目指しての新しい挑戦が始まっている。ただ、残念なことに、変化しているこの2年間、パンデミックの影響もあり、あまり遠くまで足を延ばしての店舗見学は叶わなかったようだ。今でも地方に住んでいると、感染に対する反応は厳しいものがある。

▼本来、食品を主体とする店舗見学が楽しみなのだが、先週末は大創産業の旗艦店を見学してきた。100円均一最大手「ダイソー」が、4月15日に東京メトロ銀座駅から徒歩3分の商業施設「マロニエゲート2」の6階に開業して話題になっていた。銀座3丁目の「マロニエゲート銀座店」で、グローバル旗艦店として「世界中をもっとワクワクさせる欲しい、楽しい、新しい、が溢れている」をコンセプトとした売場面積500坪の店舗である。この店、初の試みとして「ダイソー」に加え、300円均一の「スリーピー」と「スタンダードプロダクツ」の3ブランドを同時展開しており、興味深いものであった。「ダイソー単独では取りこぼしていた客層の獲得」を狙うとの広報コメントがあり、大創産業のブランド展開とその差別化戦略に興味があったからだ。ちなみに、この3ブランド融合店の2号店は、5月にシンガポールで開業している。まさにグローバル旗艦店なのだ。

▼この店舗、主力の「ダイソー」は約300坪。2万3000アイテムを取り揃え、フードロス対策商品や環境配慮型の行楽消耗商品コーナーなどを展開している。

2018年から導入した「スリーピー」は、これまでのグレーやピンクに加え、トレンドのくすみカラーを取り入れた落ち着いたものに変更されている。これまでのキャラクター商品は減らす計画なのだろうか、ターゲットを広げる作戦なのだろう。「スリーピー」は既存店のリニューアルを進めるとともに24年度に370店規模となるとの広報だ。

「ちょっといいのが、ずっといい。」をコンセプトに掲げた「スタンダードプロダクツ」は3店舗目。約2000SKUを展開、燕市(新潟県)の職人が製作したカトラリー(300円)や関市(岐阜県)の職人が製造した包丁(1000円)、今治市(愛媛県)のタオルやメイドイン東京の文具ブランドも品揃えされている。24年度に400店体制を目指すとある。

▼大創産業は、今年創業50周年を迎えたる。今期は国内外に520店舗の出店を掲げ、年度末には合計6850店舗となる見込みだ。商品面でもSDGs対応として環境配慮商品が増えている。足元の課題である原材料や原油価格の高騰、円安への対応も注目していきたいところだ。このグローバル旗艦店の開業を契機に日本発のグローバル小売業を目指すのだろうが、商品開発力に磨きがかかっており、見るだけでも楽しかった。

(2022・06・15)