「よそもの」「わかもの」「ばかもの」・・・

日本経済新聞(7月12日号朝刊)の地域経済のページに『地域のチカラ 街のイノベーション』欄に、小生の生まれ故郷である小川町の情報が掲載されていた。この町は、ヤオコー発祥の地でもある。記事には「埼玉県中央部にある小川町は、農薬を使わずに野菜を育てる有機農業(有機栽培)が盛んで、有機栽培を学ぶために移り住んだ人も多い。町は地元農家と連携した有機農業塾や体験宿泊ツアー、空き家再生などを企画し、若い移住者や町外在住者の地域活動参画などにつなげている。人口約2万8千人の小さな町だが、SDGs(持続可能な開発目標)の理念を体現する自治体として注目を集める」とある。

▼この町には、有機農業専門の農場「霜里農場」がある。小生の中学の1年先輩である、金子美登(よしのり・男性)さんが、50年ほど前から有機農業を始め、「有機農業生産グループ」を結成。現在は、約70人が所属し、全国でも有数の有機農業の集積地になっているのだ。しかも、メンバーの大半が町外からの移住者という。21年度の移住者数は68人と、16年度(9人)の7倍以上に増えたとある。有機農業による自給自足、地産地消を軸にした街づくりがコロナ渦の中にあって評価されているのだろうか。

▼季節や気候にあった野菜を多品種少量生産している地域で、野菜の植え方から土作り、自然に循環する肥料の作り方、収穫方法、太陽光発電やバイオマス発電の活用などのノウハウを蓄積しており、有機農法を体系的に学ぶことができる全国でも珍しい地域でもある。

将来の移住にもつながる関係人口を増やす試みもユニークで、「小川町SDGsまち×ひとプロジェクト」と称した企画を展開。若者目線で魅力を発信する「若者未来会議」も立ち上がっている。

▼人口が減少するなか、地域の資源を守りながら社会を存続させることは、人口減少問題を抱える自治体の共通課題である。自然との共生を志向し、人材などのソフト面と施設整備などハード面を有機的に結ぼうとする取り組みはSDGsの理念に沿った事例といえそうだ。行政である小川町も「持続可能でコンパクトなまちづくり」に取り組んでいる。これらを関係者は、「コロナ下で生活拠点を都心から郊外へ移す流れにうまく乗れた」と強調し、「若者や外部メンバーは行政にない視点を持ってきてくれる」と歓迎するともある。

「よそもの」「わかもの」「ばかもの」――。町の復興・再生には、この3つの要素が欠かせない。これは随分昔から「町おこし」とか「歴史が変わるとき」に出てくるフレーズだが、スーパーマーケット事業にも言えるのかも知れない。

(2022・07・14)