マイクロマーケット開拓に挑むコンビニエンスストア・・

外販、デジタル、組織などの大胆な改革が目白押しのコンビニエンスストア各社だが、ミニストップが無人ミニコンビニ「ミニストップポケット」を年内1000カ所の設置へと動いている。この「ミニストップポケット」とは、セルフレジを利用し、キャッシュレス決済で24時間利用できる職域内の無人ミニコンビニのことだ。企業のオフィスの休憩室など関東地方を中心に約700カ所で展開。月間3500万円程度を販売しているという。

▼コロナ渦の影響もありリアル店舗の商圏は、限定的で狭く、しかも小さなものになっている。ミニストップは、この商圏よりも小さいマイクロマーケットの開拓に挑むことになる。細小構成は、冷蔵庫とゴンドラが各1台で飲料や菓子、カップラーメン、日用品など約100アイテムを扱う。就業者人数100人以上の職場を目安に、1坪程度のスペースあれば設置可能で、週1回程度の商品補充で運用する。設置企業は、電気代とコーヒーマシーン設置の場合の水道代負担で運用できる。

最大構成では、おにぎりやサンドイッチ、弁当などのデリカ商品やデザートなど約300アイテム以上の展開も可能という。こちらは、就業者人数400~500人以上を目安にして5坪程度で設置、商品補充は毎日行い、月10万円程度の利用料を設置会社から徴収するものになる。

▼「マイクロマーケット」と呼ばれるオフィスや病院、駅構内施設、工場、学校、ホテルなどの限定狭小商圏に関しては、そのポテンシャルに期待してか、大手コンビニが取り組みを進めている。ファミリーマートは、貯金箱型の売上回収箱を使った「オフィスファミマ」を展開、セブン-イレブン・ジャパンは自動販売機を拡大している。一部では撤退の動きもあるものの、カメラやセンサー、顔認証システムなどデジタル技術を活用した省人型店舗を実験展開するなどの取り組みが進められている。

▼ネックなのは初期費用が高額のことだ。特にセキュリティ上の閉鎖空間をつくる必要があり、ゲートの設置費用もかさむため、店舗拡大の障害になっていた。これらの課題解決のため、「ミニストップポケット」は、スマホでドアの解錠ができる実証店舗を開設したということだ。ヤマハが開発した音響通信技術を活用、音を信号にするため、実際に来店した人しか開けられず、防犯効果も高いという。

実証店舗の利用状況を踏まえた上で、事業として成立させるために将来的に3000~5000カ所に広げていかなくてはならないとの事業展開を図っている。

(2022・07・17)