開発商品のブランド化・・・

コーネル大学RMPジャパンの講師のおひとりで、丁寧な講義を毎年してくださる大久保 恒夫先生が社長の「西友」では、25年度までの中期経営計画で「業界ナンバーワンの食品スーパーになる」との目標を掲げている。その重要施策の1つに、価格競争力と価格以外の価値提供を両立させる「商品開発力」と「販売力」の強化を位置づけている。プライベートブランド(PB)「みなさまのお墨付き」をはじめとする付加価値と低価格を両立させたPB商品群が大きく伸長し、21年度のPBの売上高は対前期比27%増と過去最高を記録したという。

▼2012年に開始して話題となったPB商品「みなさまのお墨付き」は、消費者が支持するものだけを商品化するというコンセプトで、「味」「価格」「容量」の3つの観点から100人以上の消費者の評価で「非常に良い」または「良い」の評価を80%以上獲得した商品だけを発売するものだ。21年末時点で、加工食品を中心に約1200アイテムを展開、23年度には加工食品部門での売上高構成比を25%にまで拡大させる方針を発表している。

▼西友も、他の企業と同じように商品の開発にあたり、ナショナルブランド(NB)をベンチマークし、コモディティ商品を中心に開発してきた。NBと同等以上の品質を保持し、価格は10%以上安く販売して来た。20年度以降は、コロナ禍での生活様式の変化に合わせ「簡便」、「健康志向」、「おうち時間拡大」などに対応、付加価値の高い商品のPB化にも着手して来た。なかでも、糖質オフや栄養素にこだわり、罪悪感なくおいしく楽しめる「ギルトフリー」シリーズ、日常生活に癒やしをもたらす「ご褒美スイーツ」の菓子は話題だ。

▼消費者ニーズを徹底的に掘り下げていくほど、PBの商品開発は既存の領域を自ずと超えるとの発言があるが、消費者はもはやNBだけでは満足しないのだ。PB商品「みなさまのお墨付き」でも、調理の時短や簡便へのニーズに対応した「Ready To Eat & Cook」、心身ともに健康で心地よい生活をサポートする「Well-Being」、産地や原材料へのこだわりを追求した「Local & Seasonal」をシリーズ化している。

大切なのはブランド認知度の向上や販売力の強化になる。西友では、このPB商品の集積コーナーを展開し、インスタグラムで公式アカウントを開設、オンラインでの情報発信も強化している。「みなさまのお墨付き」の商品を使った有名シェフ考案の料理レシピなども発信している。

更には、店舗従業員からもアイデアを募るなどアイデアや意見を広く集める体制を整備するとも言っている。

(2022・07・21)