日本経済新聞社が四半期ごとに消費現場の景気指数である『日経消費DI』(7月)が発表された。これは、小売業、外食業、サービス業など消費関連企業を対象に「現在の業況判断」「今後3カ月の売り上げや客数の見通し」「消費者の支出意欲」などを調査したものだ。指数(DI)とは、項目ごとに「良い」「普通」「悪い」の回答を得て、「良い」の割合から「悪い」を引いた値のことになる。
▼『日経消費DI』7月の業況判断指数(DI)は、マイナス27と、4月調査から17ポイント改善した。新型コロナウイルスによる行動制限の緩和によって、コロナ下で控えていた娯楽や外食を楽しむ「リベンジ消費」の人が増えて追い風となったようだ。業種別DIでも、映画など「興行・アミューズメント」のほか「旅行・運輸」「外食」の回復が目立つ。「日本旅行では、18日時点の8月の国内旅行予約数は前年比3.07倍(人員ベース)となっている」と日経MJに掲載されていた。もともとコロナの影響で需要が消失していたものや外出自粛などで消費が抑えられてきたことへの反動的な消費によるものなのだろう。
▼7月の業況判断DIの水準は、コロナの感染拡大が本格化する前の20年1月調査時のマイナス27以来の高さになる。この時は、前の年の10月に消費税率が10%に上がり、急速に消費が冷え込んでいた時期なので、その点を考慮すると消費の盛り上がりは大きくない。しかも、食品やガソリンなどの値上がりを受けた日常生活の節約志向は高まり、消費全体の回復力に強さは感じられないと言うところになる。
▼国内の消費者物価指数の上昇率は、6月まで3カ月連続で2%を上回った。食料では、4.0% → 4.1% → 3.7%(生鮮食品12.2% → 12.3% → 6.5%、生鮮食品を除く食料2.6% → 2.7% → 3.2%)と推移している。調査対象企業が扱う商品・サービスの価格について「上昇している」と答えた割合から「低下している」を引いた価格DIはプラス41。前回調査から16ポイントも上昇して、1995年の調査開始以来最高となっている。
食品などの値上がりは、百貨店の中元商戦にも影響を与えている。日々の生活実感が反映されているのか、調味料や食用油などの売上が対前年比6.5%も増えたという。
スーパーマーケット販売統計調査によると、6月の売上高前年比は、全店98.5%、既存店97.4%と苦戦状況にある。これまでは21年秋以降の食品関連の値上がりなどが売り上げ増につながっていたものの、そうした効果も剥落してしまったのだろう。
消費は回復してきたとはいえ、その力強さに確信を持ちきれないのが実情のようだ。
(2022・07・27)