米国の消費も物価高で変調か・・・

Walmartでは店舗数が3年連続して減少し、今期もその傾向が顕著だ。Walmart USの2019年1月期の店舗数は4,769店だった。これは、スーパーセンターやネイバーフッドマーケットの店舗総数で、20年には4,756店となり13店舗も減少した。1962年の創業から初の出来事になったのだ。しかも21年1月期には4,743店舗となりさらに13店舗も店舗数を減らした。今年、4月末の実績では4,735店となっている。

▼3年連続して店舗数が減少している。にも拘わらず売上面での成長は連続している。「店舗数が減れば売上も下がる」が、これまでの考え方だったが、Eコマースの売上は構成比10%以上となり未だに成長していることで、売場拡大することなく売上高を増加させることが可能なのだ。

その為なのか、ウォルマート・アプリの更新頻度が異常に多いことに驚く。ストアアプリは2月に6回、3月は9回、4月も7回の更新。5月と6月は6回ずつ、7月も既に5回の更新となっている。買物に使うアプリを少しでも便利にするよう積極的に改善し続けていることの結果であろう。

▼最近、Walmartが5月に続き通期の業績予想を引き下げた。23年通期決算の1株当たり利益の予想を前期比11~13%減に下方修正したことになる。5月にそれまで1桁台半ばの増益と発表していたものを、約1%の減少に下方修正したばかりだった。株式市場では「ウォルマートショック」となり、25日の時間外取引でWalmartの株価は10%安、Targetは5%安、Amazonも4%安となっている。背景は消費行動の変化である。燃料や食品への支出が前年同期比で増える一方、衣料品や家具は2桁台の減少が続いた。とくに低所得者世帯で、生活必需品以外への支出減が目立っている。

Amazonは「プライムデー」で、「Amazon Fresh」の生鮮品を大幅に値下げし客数増を図った。プライムデー利用者の28%は必需品以外の購入を見送ったという。

▼結果、各社は在庫過剰になってしまっている。勿論、コロナ禍で逼迫した供給網の状況が改善しつつあることも、在庫を膨らませる要因になったもようなのだが、在庫回転日数もどの企業も伸びてしまっている。在庫水準の正常化を進めて利益率を改善する必要がある。

ただ、Walmartの食料品の売上は依然として伸びており、第2四半期(5~7月)の既存店売上高(ガソリンを除く)を従来予想の4~5%増から約6%増に引き上げた程だ。ただ、Everyday Law Price政策で利益率の低い食料品を低価格で提供し、衣料品や電子機器、家具など利益率の高い商品で利益を確保してきたが、この物価高の状態は、この収益モデルの転換を迫られることもありそうだ。

米国小売業の対応技術を、日本の小売業も「自ら考えるヒント」にしたいものである。

(2022・07・28)