「37%の食料自給率、どうやって高めますか?」・・・

日本経済新聞社の世論調査で、岸田内閣の支持率は発足以降で2番目に低い58%とある。新型コロナの新規感染者数が増えると下落しやすくなり、それに物価高が影響しているものと考えられる。結果、優先処理を希望する政策は「新型コロナ対策」を挙げた割合は35%と前の月の調査から19ポイント上昇している。足元の感染者数は過去最多の更新が日々続き、医療提供体制は逼迫して来ている。

▼一方、共同通信社の全国電話世論調査によると、岸田内閣の支持率は51.0%で7月上旬に行った調査から12.2も急落した結果が報道されている。ランダムに調査対象者を選ぶはずなのに、どうしてこれだけの差が出るのか不思議である。しかも、調査する組織による傾向はいつも同じになっているように感じる。絶対数値を考えるのではなく、あくまでもトレンドでしか見ることが出来ないのであろうか。いつも、統計(調査)の判断に関して悩む。共同通信社の全国電話世論調査による、安倍元首相の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計45.1%を上回ったともあるが、どのように解釈したらよいのか。

▼マーケティングのデータも解析方法、判断の仕方で差が異なる。リアル店舗を成功させるためには、その店舗の置かれているエリアを分析しなくてはならない。数字データではなく、現実の店舗・売場のお客を見て、その意味を考える習慣こそがパワーになる。これまでと違うアプローチ展開する必要が大事になって来た。スーパーマーケットも商圏内の顧客の食卓から見直す必要がある。それは、食料生産地やメーカーとの関わりの中で考える重要な時にあると思う。8月1日付けの日本経済新聞「未来」の頁に全国農業協同組合が、課題として「37%の食料自給率、どうやって高めますか?」と投げかけていた。400字程度にまとめた投稿も募集している。顧客の食卓を担うことをミッションのひとつとしているSMにとって大事なテーマとして意見はきちんと持っておくべきだ。

▼食料自給率には、カロリーベースと生産額ベースがある。生産額で見れば70%近くに達している。生産額で見ることは、農業が産業としてどんな状況にあるかを示している。海外よりも付加価値の高い作物に力を入れれば数値は高まる。一方、カロリーベースの数値は、国内生産で国民をどの程度「飢え」から守れるかを表している。海外産と同じ効率でつくれる農畜産物はそう多くはない。自給率は高ければ高いほど良いという回答は存在しないはずだ。どこまで高めるのが妥当なのか。足元で弱体化が懸念されている供給能力をどのような形で維持すれば良いのか。考えておく必要がありそうだ。

支持率と食料自給率を見て、統計調査から導き出される数値と向き合う必要を感じる。

(2022・08・02)