米流通業、インフレ対策・・・

米国のインフレは深刻のようだ。米国労働局によると6月の消費者物価指数は前年同月から9.1%増加、この40年間で最高の増加を記録した。ガソリンが59.9%増、食品が10.4%増と個人の生活を直撃している。当然、エネルギー関連なども上昇しており、企業活動にも大きな影響を及ぼしている。コロナ特需で売上好調だった大手小売企業も増収減益傾向が顕著となり、コスト削減にむけての動きが本格化してきている。

▼主要な小売企業の過去1年の業績推移をみると、コロナ特需による売上増は落ち着き傾向にある。Amazon.comでさえ1ケタ成長にとどまっている。営業利益、当期純利益を見ても減益幅が大きい企業が多い。売上は伸びているものの、ガソリンその他の価格高騰が利益面を大きく圧迫し始めているということだ。

▼インフレによるコスト増については、輸送•配送コストが予想以上に高騰した。また、消費行動の変化は、業績に多大な影響を与えている。アパレル、ホームグッズ、家電などハードラインの売上が3月以降急速に悪化、加えて昨年はコロナ対策として政府からの給付金があったが、今年は支給されていないことの影響も大きいものになっている。

Amazonも深刻で、インフレによる物流インフラへの影響度合いが他社以上に大きいようだ。米国における「プライム会員」の年会費を初めて、119ドルから139ドルに値上げ し、4月から出品業者に対してもガソリンおよびインフレ追加料金の徴収を開始している。

また、コロナ禍での需要急増に対応した結果、19年度に比べ2倍以上の規模である3億8710万平方フィートの物流施設を保有するなどの「倉庫過剰問題」も課題となっている。

▼サプライチェーンコストの削減は、難易度の高い課題だが、米国の流通業界は、シェアリングエコノミーの概念に基づき、複数の企業が協働することでコストを下げようとする「コラボラティブサプライチェーン」の動きが出てきている。

米国の記録的なインフレの中にあって、物流効率化と物流コスト削減の動きを加速させている。有力な小売企業の参画を促し、複数の企業が協働して、Amazonのような巨大企業に対抗し得るプラットフォームを構築しようとする動きも見られる。先にも述べたが、Amazonの物流インフラはインフレの下で巨大化が顕著になり、戦略の練り直しを迫られてもいるようだ。

コロナ禍に続くインフレの大波は、米国の流通小売市場に新たな変革をもたらしそうである。しばらくの間、米国流通小売市場の革新の動きに注目しておきたい。

(2022・08・05)