時代の変化に「強み」も捨てる・・・

米国のStarbucks社では、モバイルオーダー&ペイでの注文が直近の四半期で47%に達したとある。モバイルオーダーとはスマートフォンのアプリから事前注文、事前決済するものだ。レジ待ち時間を緩和し、注文時のヒューマンエラーを回避できることでクレームが減り、店内オペレーションの合理化も図れるという。

▼新型コロナウイルスの新規陽性者が激増する中にあって、コンタクトフリーとなるモバイルオーダーは感染リスクも最小化できる事から利用が加速した。最近ではドライブスルーにもモバイルオーダーが応用されている。Starbucks社のモバイルオーダー&ペイを介した注文売上は、前年同期から13%増になり、前の四半期からも4%も増加している。

そして、驚くのはモバイルオーダー、ドライブスルー、宅配サービスの売上が全体の72%にも上っているのだ。バリスタがレジ対応したお客の売上が全体の28%しかないことになる。そのうちの一部が店内に滞在したことになるのでサードプレイス(第三の場所)として使うお客がほんの一部しかないのだ。

▼サードプレイスとは家庭(ファーストプレイス)や職場(セカンドプレイス)でもなく、気軽に人々と集うことができる場所のことを指す。家庭や仕事場でもないサードプレイスの非日常的な空間は、一人で過ごすのにも友人とのおしゃべりにもくつろぎや楽しさを与えてくれる場所で、Starbucks成功のポイントのひとつであった。サードプレイスとしての機能に多くの支持を集めて成長発展してきたと言える。しかし、強みでもあったサードプレイスが終了していることが明らかになったのだ。新店の9割がドライブスルーを持つ店舗であり、顧客トレンドからサードプレイス・コンセプトから決別しようとしているのだ。

▼「Starbuck Pickup with Amazon Go」の2店舗目がオープンした。Amazonの自動決済システム「Just Walk Out」をもつコンビニ「Amazon Go」とコラボした店はミッドタウン・ウエストサイドにある「The New York Times Building」の1階部分にある。

90坪弱の店舗で、店の入り口近くにStarbuck Pickupのカウンターがあり、その横にはレジなし決済システムのJust Walk Out用ゲートが設置されている。ゲートを通るとサラダやサンドイッチ、スナック類が置かれているAmazon Goのエリアで、左側はイートインスペースでテーブルや椅子などがある。飲み物はスターバックスのアプリを介して注文しながら、食べ物はJust Walk Outを通ってアマゾン・アプリでお会計とするのだ。カフェテリア内でコーヒーを飲んでいる途中、焼きたてのパンなどをそのまま手にとって会計なしに即座に食べることが出来る。

くつろぎ空間が少なくなるのは寂しい気もするが、今のお客が求めていることでもあるようだ。

(2022・08・11)