ヤオコーが発表した2023年3月期第1四半期の連結決算は、営業収益1369億9900万円(前年同期比4.2%増)、営業利益76億6400万円(5.7%減)、経常利益75億8500万円(6.0%減)、四半期純利益52億0100万円(4.1%減)の増収減益となった。ヤオコーでは6月末時点の店舗数が前年同期比3%増の178店に増え、全店売上高が3%増えた。ただ新型コロナウイルス対応の行動制限が緩んで外食に需要が流出し、4~6月の既存店では売上高が1%、客数も2%それぞれ減った。店舗の電気代など水道光熱費の高騰により販売費及び一般管理費は308億円と4%増えた結果、利益を圧迫したことになる。営業利益率は5.6%、経常利益率は5.5%。
▼23年2月期、3月期の第1四半期のスーパーマーケットの業績発表が続いているが、各社の優勝劣敗が鮮明になっている。コロナの影響による特需が落ち着いた第1四半期だが、業績のポイントは、荒利(売上総利益)と販管費をどうコントロールできたかによる。
2月期決算の第1四半期決算企業12社の業績は、4社が増益、8社(新会計基準適応前の数値を算出して比較し実質減益の3社を含む)が減益となっている。減益企業の問題は、落ち込み幅が一桁台から9割減まで様々なことだ
▼減益企業に共通するのは、ヤオコーと同様に販管費が前期を上回っていることだ。これに荒利益額の違いが出ている格好になる。減益になってしまったが、ライフコーポレーション、アークス、ベルクは荒利益額を増やしている。対して荒利益額を減らした企業群は、営業利益がUSMHは72.4%減、オークワ74.1%減、アオキスーパー99%減とあり、落ち込み度合いの大きな企業が目立つ。気になるUSMHだが、販管費は微増に抑えたが、荒利益額を落としたことが減益につながっている。営業利益額を見ると、カスミが7億円、マルエツは3.1億円。マックスバリュ関東は営業赤字5700万円とあった。
▼今期のポイントは、荒利益額の確保が課題になる。ただ、今期は荒利額が非常に稼ぎづらい。特需が落ち着き、売上げの伸びを期待出来ない状況に加え、仕入価格の高騰分を全て価格に転嫁しきれない、逆に節約志向が高まる中、価格政策で意図的に自社の荒利を削る施策をとらざるをえないことも事実だ。そして販管費の削減はそう簡単ではない。水光熱費の上昇、物流費の上昇に加え、人件費も上がっているからだ。
まず荒利益額をいかにして前期並に確保するか。その為の商品政策こそが今期を乗り切る重要な鍵となりそうだ。
(2022・08・17)