Walmartは、第2四半期(5月~7月期)決算を16日に発表した。総売上は、前年同期比8.4%増となる1,528.6億ドル(約20.5兆円)であったが、営業利益は7%減の68億5400万ドルだった。節約志向を強める消費者が生活必需品以外への支出を絞っており、Walmartも在庫処分のための値引き販売を実施せざるを得なかったようだ。輸送用コンテナ数を2~4月期から半減させるなど物流コストの低減を進めたが、利益の減少を補えていない。出資先企業からの特別配当を計上し、純利益は20%増の51.5億ドルだった。
▼売上高は、40年ぶりのインフレにより高所得者層や中間層の新規顧客が節約のためにWalmartにやってくるようになったとある。総売上の7割近くを占めるWalmart US事業部の売上高は1,051億ドルと前年同期比で7.1%の増加、既存店の前年同期比(除 ガソリン販売)は予想を上回る6.5%の増加であった。32四半期連続で前年を上回っている。内訳は客数1.0%増加、客単価は5.5%の増加である。ネットスーパーを含めEコマースは、12%の売上増。2年間でみるとEコマースは18%の増加となっている。
「サムズクラブ」は異変が起きている。会員数は過去最高を記録し、会費収入は前年同期比9%増えた。既存店売上高は2桁増と好調だ。売上高219億ドル(前年同期比17.5%増)であり、既存店(除 ガソリン販売)も9.5%の大幅増であった。客単価が0.2%の減少となったが、新規客が増えて客数は9.8%も増加した。
▼食料品は価格を抑えたPB商品の売上高の伸びが前に四半期から倍増した。消費者は少しでも内容量の少ない食品を買ったり、牛肉の代わりにツナ缶や豆を選んだりと、支出抑制の傾向を強めているという。売上高に占める食料品の比率が3%近く上昇した一方、日用雑貨は3.5%超低下した。支払い方法も、口座から即時引き落とされるデビットカードより、クレジットカードを使うケースが増えるなど懐具合の変化があるようだ。
ネット通販での生鮮食品34品目の販売価格は、コロナ渦前と比べ約2割上がったとの調査がある。インフレ下で人気が高まるダラー・ジェネラルなどのディスカウントストアに顧客を奪われかねないため、低価格商品の品ぞろえを強化せざるを得ないという。
これまで、不況下の優等生として逆風を乗り越えてきたWalmartだが、今回は少々勝手が違うようだ。高インフレ下でもEDLPを続けられるか。どれだけ収益を伸ばせるかが今後の焦点となりそうだ。
(2022・08・19)