スーパーマーケット(SM)の惣菜部門が伸び続けるのは、この部門だけは他業種からも需要を奪える部門だからではないかと思う。内食主体のSMにあって、惣菜は「中食」になる。家庭内でストックすることなく消費するものであり、同じ中食ジャンルでもチルドや冷凍の商材との違いがある。調理に手間をかけたくないし、外に食べに行きたくもないときに購入するもののひとつだ。外食からも内食からも需要を取れることにもなる。SMにとって需要開拓の余地が残されている部門になる。
▼コーネル大学RMPジャパンに参加頂いたSM企業(株)東武ストアが都市型ミニスーパーを展開した。1号店は、「Tobu store Fresh&Quick」で、東武スカイツリーライン・曳舟駅の商業施設「エキア曳舟」内に5月31日に出店したものだ。この店舗は、店舗面積は343㎡で、生鮮食品と総菜を中心に酒類や生活用品も取り扱うもので、午前7時から午後11時の営業時間である。そして、東武ストアは、これまで高級ミニSMとして営業をしてきた「フエンテ朝霞台店」を業態転換し、「東武ストア フレッシュ&クイック朝霞台店」をリニューアルオープンした。
▼朝霞台店のコンセプトは「フレッシュ&クイック」。惣菜をはじめ即食性・簡便性の高い食料品を強化した品揃えで、短時間で買物が出来る利便性を高めた、駅前立地の小型スーパーマーケットになる。社会環境やコロナ禍で変化した生活行動に対応するために、単身世帯や2人世帯、駅乗降客のニーズに合った惣菜や冷凍食品などの「中食」を強化した新業態といえる。7月22日の開店で、売場面積は128坪。7時~24時の営業時間になる。東上線から武蔵野線への乗り換え時間に訪問させて頂いた。
▼惣菜などの即食系商品とフローズンを拡大し、素材系商品を大幅に縮小している。拡大された惣菜売場では、南部地鶏使用の惣菜や中華の香味楼、まい泉のサンドイッチや果実たっぷりのスイーツやフルーツサンドが並んでいた。スープストックトーキョーや名店とのコラボ商品、冷凍ミールキット商品、冷凍肉を品揃え、お刺身冷凍食品への挑戦もある。カットサラダやステラおばさんのクッキーなどお菓子類も品揃えする。フレッシュな搾りたて果汁が楽しめる生搾りオレンジジュース自動販売機も導入されており楽しい売場が出来ていた。冷凍食品売場も大幅に拡大している。それに、イートインコーナーやキャッシュレス専用フルセルフレジなどの新設もある。
駅周辺は、「サミットストア」、「オリンピック」があり、コンビニも多い食品小売の激戦区。新しい業態で年商も約5割増をめざすという。ミニSMではなく、コンビニとも差別化した「Fresh&Quick」業態としての独自性挑戦の店舗と考えられる。
(2022・08・26)